「標準的運賃」着実に浸透…トラック事業者、値上げ53%
3割荷主と交渉せず 国交省調査
国土交通省はトラック運送事業者の適正な運賃収受を後押しするために策定した標準的運賃について、1月から3月にかけて実態調査を実施し53%の事業者が一定の理解(値上げ)を得られたという結果を公表した。標準的運賃は2020年4月に告示した。22年1―3月の調査では一定の理解を得られた事業者は17%、23年2―3月の調査では同43%で、着実に理解は進んでいる。一方で、荷主企業に値上げ交渉自体に応じてもらえないという回答もあった。
調査は1月22日から3月10日に、全日本トラック協会の会員とホワイト物流推進運動で把握した荷主企業を対象にアンケート形式で行った。
回答があったトラック事業者1946社のうち、運賃交渉を行ったのは1385社(71%)で、561社(29%)は交渉せず既存運賃を継続した。交渉した1385社のうち、荷主の理解で「希望額を収受できた」のは537社(39%)、「一部収受できた」のは493社(36%)。残る355社(25%)は収受できなかった。このうちの53社は、交渉自体に応じてもらえなかったという。
実際に標準的運賃と同等以上を収受できた事業者は20・1%で、前年調査の14・8%から5・3ポイント改善した。8割以上収受できた事業者だと50・4%、前年調査では45・3%だった。
また、トラック事業者に標準的運賃の認知状況を質問し「金額を知っている」は39%、「原価計算の方法を理解している」が47%。原価計算の実施状況の問いには「実施した」が83%、「実施していない」が17%。トラック事業側で原価計算のやり方が分からず、荷主と運賃交渉できない企業が100社あった。
日刊工業新聞 2024年07月09日