「コパイロット+PC」に注目…各社横一線、差別化策は?
米マイクロソフトが端末側で人工知能(AI)の処理を行える「コパイロット+PC」を打ち出し、注目されている。米クアルコムのチップを搭載し、処理速度を上げた点が特徴の一つ。複数のパソコン(PC)メーカーがコパイロット+PCを発売している。一方、同じコパイロット+PCの枠組みで自社製品を売り込むには競合との差別化が必要だ。PC各社はハードウエアとソフトウエアの両面で付加価値を高めている。(阿部未沙子)
コパイロット+PCには、AIの推論処理を行えるNPU(ニューラルネットワーク・プロセッシング・ユニット)を搭載。毎秒40兆回以上の演算ができるクアルコムの「スナップドラゴンXシリーズ」を採用した。
高性能なNPUにより、例えば日本語を含む44の言語を即時的に英語に翻訳して字幕に表示したり、文字や絵を描写することで画像を生成したりできる。
日本マイクロソフトは、コパイロット+PCとして「サーフェス プロ(第11世代)」と「サーフェス ラップトップ(第7世代)」を投入。ほかのPCメーカーもコパイロット+PCを発売中だ。
ただコパイロット+PCとしての基準を満たした上で、いかに自社製品を訴求するかはPC各社にとって課題だ。競合との差別化のため、薄型・軽量化を図るほか、アプリケーションを通じた利便性の向上に注力する。
ハードウエアの観点では、レノボ・ジャパン(東京都千代田区)が薄さを売り込む。「レノボ ヨガ スリム 7x ジェン9」は厚みが12・9ミリメートルで「競合他社に対しても薄い」(レノボ・ジャパン)点が特徴だ。
またデル・テクノロジーズ(東京都千代田区)の「XPS 13」は、2層の有機ELパネルを効率的に動かし、消費電力を抑制する「タンデムOLEDディスプレー」を採用した。同社によると、コパイロット+PCとして世界で初めてタンデムOLEDディスプレーを採用したノートPCだという。日本HP(東京都港区)は約500万画素のカメラを売りにする。
ソフトウエアでは、エイスース ジャパン(東京都千代田区)が独自アプリ「ASUS AI アプリケーション」を訴求する。例えば写真やビデオを自動的に整理したり、離席時に操作をできなくしたりする。
ただ国内PCメーカーに目を転じると、VAIO(長野県安曇野市)を含めコパイロット+PCを手がけていない企業もある。多様な顧客にPCでのAI活用を促すためにも、幅広いPCメーカーのコパイロット+PCへの対応に期待がかかる。