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総面積53ヘクタールの街づくり…大阪公立大学が軸、再開発は軌道に乗るか

総面積53ヘクタールの街づくり…大阪公立大学が軸、再開発は軌道に乗るか

大阪城東部地区再開発の中核として建設が進む大阪公立大学の森之宮キャンパス

大阪市内の代表的な観光拠点、大阪城・大阪城公園の東側に位置する大阪城東部地区の再開発が注目されてきた。同地区に大阪公立大学が2025年秋に大規模な森之宮キャンパス(大阪市城東区)を開設し、大阪メトロは新駅を28年春に開業予定だ。大阪府と大阪市は同地区を「大学とともに成長するイノベーション・フィールド・シティ」と位置付ける。公立大学を軸に新たな人の流れをつくる再開発は軌道に乗るか。(大阪・広瀬友彦)

大阪経済にインパクトを与えるビッグプロジェクトとして25年の「大阪・関西万博」、9月に一部開業するJR大阪駅前の再開発事業「うめきた2期」に次ぎ、「大阪城東部地区の再開発」が挙げられる。同地区では大阪公立大森之宮キャンパスの建設工事が進み、13階建てで延べ床面積約8万平方メートルの建物が姿を見せ始めた。学生や教職員ら約6000人が集う都心部の一大教育拠点となる。

大阪府・市は総面積約53ヘクタールの大阪城東部地区の街づくりの方向性について森之宮キャンパス開設を1期開発とし、28年完成予定の1・5期開発では大学を軸としつつ民間活力も導入した多様な交流・連携拠点づくりを目指す。大阪メトロは地下鉄中央線と結ぶ新駅と空飛ぶクルマ離発着場の整備も想定した複合駅ビルなどを開発し、隣接地には1万人規模のアリーナを建設する構想を打ち出す。

大阪商工会議所も大阪城東部地区に着目し、「このエリアで市民と共創した最先端の実証実験を行っていく」(松本敬介産業部長)とする。大商は同地区で複数の団地を持つ都市再生機構(UR)と組み、通常の生活空間で自動運転や飛行ロボット(ドローン)活用などの実証実験を24年度に行う。6月末に同実証に参画する企業などを公表する予定だ。

大阪の都市政策を調査・提言する大阪地域振興調査会は、万博開催の機をとらえ、大阪城周辺エリアの再開発を要にした「関西イノベーション東西軸」と称する都市構想を提唱する。東西軸は東側にけいはんな学研都市、中央部に大阪城周辺エリア、西側は万博開催地の夢洲までを結ぶ約40キロメートル圏だ。同調査会で都市整備に詳しい吉野国夫常務理事は「蓄電池や水素、バイオモノづくりなど関西が強みのグリーン・トランスフォーメーション(GX)技術を東西軸で実装していき、世界的なイノベーション都市にしたい」と説く。

大阪の再開発は従来の新大阪・梅田・難波といった南北軸中心から東西軸も加わるようになった。大阪城東部地区の再開発は、東西軸の都市整備強化に結びつく。一方で吉野氏は「街を変える思いを持つプレーヤーが出てこなければ(都市計画は)絵に描いた餅になる」とも指摘する。公立大学を軸とする大阪の再開発モデルに民間企業がどれだけ参画するかもカギとなる。

日刊工業新聞 2024年06月25日

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