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富士通研×米カーネギーメロン大が開発、単眼カメラで動く3Dモデルの利点

車の3Dモデル作製のイメージ(富士通提供)

富士通研究所の新沼厚一郎リサーチディレクターと米カーネギーメロン大学(CMU)のラズロ・ジェニ助教授らは、単眼カメラで動く3次元(3D)モデルを作る技術を開発した。自動車のドアやボンネットなど、3Dモデルの可動部を自由に作れる。従来法に比べて計算負荷が小さく、格段に速い。画質は最高レベルになった。デジタルツイン製作や社会のシミュレーションサービスとして提供していく。

作製した電気自動車(EV)の3Dモデル(富士通提供)

「3Dガウシアンスプラッティング」という3Dモデルの高速生成手法に可動部埋め込み機能を搭載した。まずスマートフォンなどのカメラを動かしながら対象を撮影し、画像データを基に3Dモデルを作る。この3Dモデルを可動部ごとに区分けして、ドアの開閉などの動きを付ける。

可動部はそれぞれ独立して操作できる。例えば人の顔の3Dモデルを作って目と口をそれぞれ開いたり、閉じたりできる。可動部の設定は手動と自動がともに可能。可動部の数に制限はない。自動車の3Dモデルを作製してドアやボンネット、ミラーなどの可動部をすべて再現したデジタルツインを作れる。

従来も可動部のある3Dモデルを作ることはできたが計算負荷が大きかった。新手法は複数の損失関数を駆使して動きのバラつきを抑え、3Dガウシアンスプラッティングの計算負荷が小さい利点を生かした。低スペックの画像処理半導体(GPU)で実行でき、画質としての忠実度も従来法を上回った。

スマホのカメラなどで手軽にデジタルツインを作製できると、製品や街並みを再現しやすくなる。都市計画では住民が、車などの製品はユーザーが体験しながら検証できるようになる。

日刊工業新聞 2024年6月20日

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