サービス採用6000社、日本発デジタル系「気候テック」のポテンシャル
アスエネ(東京都港区、西和田浩平最高経営責任者〈CEO〉)は、三井住友銀行など国内外の企業や投資家17社から42億円を調達する契約を結んだ。7月末まで8億円の調達も確定する予定で、起業以来の累計獲得額は101億円となる。温室効果ガス(GHG)排出量の算定・削減を支援する人材の採用や人工知能(AI)開発などに充て、海外展開にもつなげる。また6社とは業務提携も結び、製造業を中心とした企業の脱炭素支援を強化する。
17社はアスエネの第三者割当増資などに応じる。SBIインベストメント(東京都港区)、スパークス・アセット・マネジメント(同)のファンドのほか、村田製作所やリコー、KDDI、GMOインターネットグループなどが、社内のベンチャーキャピタル経由か直接出資する。
アスエネは電気や燃料の使用量、調達活動などからGHG排出量を計算できるシステムを開発・提供している。2019年の設立以来6000社が採用するまでに急成長しており、調達した資金を人材獲得に充てる。また、業種や企業別に効果的な削減策を提案するAIや大規模言語モデル(LLM)を開発する。アジアや米国への展開も強化する。
資本・業務提携する6社は三井住友銀行、村田製作所、リコー、NIPPON EXPRESSホールディングス(HD)、KDDIなど。三井住友銀行は企業に対し、算定データに基づく効果的な脱炭素対策を提供。村田製作所やリコーとは、提携により製造業の課題に対応した支援サービスを強化する。
GHG排出量の算定を求める機運が高まる中、アスエネも成長し従業員は250人に増えた。米国やシンガポールに拠点を持ち、排出削減価値を持つ炭素クレジット取引も事業化している。今回の資金調達は「シリーズC」の段階。企業や投資家からの期待が高く、これまでの調達額に匹敵する合計50億円を7月末までに獲得できる。
近年、気候変動問題を解決する新興企業「気候テック」の資金調達が活発化してきた。再生可能エネルギー事業を展開する自然電力(福岡市中央区)が22年、カナダの機関投資家から700億円の調達に成功。デジタル系企業では、アスエネが大規模な調達に成功している。