「全固体」需要に対応…アシザワ・ファインテック、電池材微細化を試験
アシザワ・ファインテック(千葉県習志野市、加藤厚宏社長)は、全固体電池を中心に電池材料の微細化を試験する環境を整備する。このほど本社の実験室にドライチャンバーを導入し、大気中の水分と反応すると有害物質が発生したり、物性変化や液化など性能が劣化したりする材料の試験を行えるようにした。材料試験の受注で年間30件以上を見込む。試験を通じて自社のビーズミル(微粉砕・分散機)のメリットを訴求し、拡販につなげる。
導入したドライチャンバーは内部の空気を乾燥させて露点を下げることで、大気中の水分量を極小化する。微細化で材料の性能を向上するための試験に活用していく。乾式と湿式の両方のビーズミルで試験できる。
投資額は1800万円で、ドライルームを設置するよりもコストを抑えた。すでに受注活動も始めており、材料の受託加工にも対応する。
今回のドライチャンバーの導入で、今後、期待できる全固体電池の材料開発の需要に対応する。
電解質を液体から固体に変える全固体電池は、充電速度の向上や大容量化、安全性の向上が可能になる。そのため自動車メーカーなどは電気自動車(EV)向けに実用化を進めている。
富士経済は全固体電池の世界市場が、2022年の60億円から40年には3兆8605億円に拡大すると予測している。
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日刊工業新聞 2024年06月14日