ロームが「SiCモジュール」新製品、独自パッケージ技術で28%小型化
EVインバーター向け
ロームは電動車(xEV)のトラクションインバーター向けに、炭化ケイ素(SiC)モジュールの新製品「TRCDRIVE pack」を開発した。独自のパッケージ技術で小型化。また、制御信号用端子をモジュール上面に配置する構造により、顧客の実装工数の削減に貢献する。ロームは新製品をトラクションインバーターのボリュームゾーン向けに訴求。SiCパワーモジュール事業で2027年度に売上高600億円以上を目指す。
トラクションインバーターは車載電池からの直流を交流に変換し、モーターを駆動するための装置で、スイッチング素子が六つ必要。SiC金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)二つを1セットにしたモジュールを開発した。
300アンペア以上の大電流、400ボルト以上の高耐圧が求められるボリュームゾーンに訴求する。また主電流と制御用信号が流れる経路を分離し、制御用信号端子をモジュール上面に配置したことで、従来パッケージ技術を使用した時と比べ28%小型化した。プレスでゲートドライバー基盤と接続できるため、顧客の量産に向く。
当面は月産10万個の体制で量産する。消費税抜きのサンプル価格は7万5000円。4品番を用意しており、24年度中に12品番までラインアップを増やす。7月以降、ヒートシンクを備え、SiC MOSFET六つを1セットにしたモジュールのサンプル提供も始める予定。ロームはこれまでトラクションインバーター向けに競争力のあるSiCモジュール製品がなかったとして、新製品で攻勢をかける。
日刊工業新聞 2024年06月11日