構造改革を加速…中央発條、中長期経営計画目標を上方修正
中央発條は中長期経営計画を見直し、事業構造改革を加速する。2028年3月期を最終年度とする同計画の目標を上方修正し、営業利益を23年5月公表値比5億円増の55億円(24年3月期実績は10億円)、売上高は同100億円増の1100億円(同1009億円)に変更した。主力の自動車部品では電気自動車(EV)対応を含め付加価値の高い商品を提供。生産面では原価低減活動を推進し、高収益を生み出せる体質を実現する。
同計画は商品力強化、新規分野への進出、原価低減の三つを柱とする。EV対応では車両の重量増に耐えられるよう、コイルスプリングを太径化した製品を投入する。熱間ではなく冷間成形により二酸化炭素(CO2)の排出削減を狙う。
原価低減ではコイル材の2次加工を内製化するほか、バネ向け塗装工程を2回塗りから1回塗りに変更する。「カラクリ」など動力を必要としない生産改善策やデジタル変革(DX)も導入し、生産性を高める。
設備投資では28年3月期までの5年間で約300億円を投じる。25年3月期までは「先行投資期間」と位置付け、将来の売上高につながる種を育てる。
このほか非自動車分野として、鉄道向けレール締結用バネや窓開閉装置などで受注を獲得。28年3月期には全売上高に占める非自動車分野の比率を23年3月期比6ポイント増の20%に引き上げる。
小出健太社長は「創立76年目に突入した。中長期計画を推進し、100年企業を達成する。24年度はそのスタートの年になる」と意気込んだ。
日刊工業新聞 2024年06月11日