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新日鉄住金が、橋梁ケーブル用鋼線材の引っ張り強度を高める理由

「2.0ギガパスカル級」は新興国の大型プロジェクト攻略の切り札になるか!?
新日鉄住金が、橋梁ケーブル用鋼線材の引っ張り強度を高める理由

世界で広がる長大橋プロジェクトのニーズに対応

 新日鉄住金は橋梁ケーブル用鋼線材で世界最高となる引っ張り強度2・0ギガパスカル(ギガは10億)級を実現し、世界の大型橋梁建設プロジェクト向けに受注活動を始めた。新興国を中心に、つり橋や斜張橋などケーブルを大量に使う大型橋の計画が目白押しなことから、強度に加え環境負荷が低く工期短縮にも貢献できる利点を訴求していく。同社では高強度線材を使う建設計画が50件程度あると見ており、その半分で受注を獲得したいとしている。

 これまで1・8ギガパスカル級の線材を多くの大型橋の建設に納入してきた。このほど「香港珠海マカオ連絡道路」橋梁部の建設計画に初めて1・9ギガパスカル級の線材を約1000トン納入した。1・9ギガパスカル級も現時点で世界最高水準。強度が高い分、線材の使用量を減らせ、工期短縮にもつながる。

 現在、2・0ギガパスカル級も提案中で「ほどなく受注が決まる」(棒線事業部)と手応えをつかんでいる。ワイヤへの製造工程では熱処理をしなくて済む利点もあり、その生産性を30倍に高めつつ、二酸化炭素(CO2)排出量を7割削減できる。鉛も使用していないことから、環境規制の厳しい地域で特に優位性を発揮できるとしている。
(2015年04月24日 素材・ヘルスケア・環境)
村上毅
村上毅 Murakami Tsuyoshi 編集局ニュースセンター デスク
世界の橋で大型化が進んでいる。大型化への対応や鋼材の使用量を減らすために、より高強度化が進みそうだ。

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