ニュースイッチ

非対称パターンで摩耗抑制…トーヨータイヤが今秋投入、小型EVトラック用スタッドレスの全容

非対称パターンで摩耗抑制…トーヨータイヤが今秋投入、小型EVトラック用スタッドレスの全容

リブ基調(左側)とブロック基調(右側)を組み合わせることで、摩耗抑制とトラクション性能向上を両立した

トーヨータイヤは小型の電気自動車(EV)トラック専用スタッドレスタイヤ「NANOENERGY(ナノエナジー) M951EV」を2024年秋に発売する予定だ。リブ(縦溝)基調とブロック基調を合わせた非対称のトレッド(接地面)パターンを採用。EV特有の高トルクによる摩耗を抑制し、トラクション(駆動力)性能を向上させる。脱炭素化で増加が見込まれるEVトラック需要に対応し、運送業界の課題解決に貢献する。

脱炭素の潮流を受け、運送業界では都市部を中心に小型EVトラックの導入加速が見込まれる。EVトラックは重さやモーターのトルクが強いことにより、タイヤの早期摩耗が課題となっている。M951は非対称のトレッドパターンを採用。タイヤ外側をリブ基調にすることで摩耗を抑え、内側のブロック基調でトラクション性能を高めた。

スタッドレスタイヤはトレッドに「サイプ」という細かい切れ込みを入れることで、柔軟に路面をとらえ氷雪上の走行性能を高める。通常のスタッドレスはブロックが小さいため、サイプを入れ過ぎると剛性が弱まりやすい。M951はブロックを大きくすることで剛性を高め、氷雪路面以外を走行する場合でも摩耗しにくくした。小型EVトラックの利用が多い関東や中部地域などの準降雪地帯での導入を見込む。

都市部の小口運送などで導入拡大が見込まれる小型EVトラックの低電費性能向上、タイヤ摩耗抑制に貢献する

ゴムの配合では、エネルギーロスを低減できる独自開発の「ナノ・コンポジット・ポリマー」を採用した。転がり抵抗低減による低電費性に加え、耐摩耗性向上を両立した。また、鋼線を束ねてリム部分を補強する部材「ビードワイヤ」には再生素材を使用し、環境にも配慮した。

トーヨータイヤ技術開発本部TBタイヤ開発部パターン開発グループの藤岡剛史パターン設計担当リーダーは「低電費性の向上や摩耗抑制による整備工数削減などタイヤで環境に貢献したい」と思いを込める。

今後増加が見込まれるさまざまな小型EVトラックに対してサイズ拡充も検討していく。商品開発やソリューション提供を通じ、運送業界の課題解決に貢献する。

日刊工業新聞 2024年05月21日

編集部のおすすめ