独自のロボットや機械・装置を他社で利用、ゼネコン技術連合の挑戦
建設RXコンソーシアムの相互利用可能な技術分科会が対象とするのは、ゼネコン各社が独自に開発したロボットや機械・装置だ。すでに建機レンタル会社を通して運用されている製品も扱う。分科会主査で清水建設生産技術開発センター機械開発グループの西村淳グループ長は「完成しているモノを持ち寄って、他社でも使えないか整理・検討する。目的に応じたものを作ろうとしている他の分科会とは少し毛色が異なる」と説明する。
現在、対象として多いのは清掃ロボットや各種検査の管理システム、高所作業用の装置など。開発済みであれば用途などに制限はないため「ありとあらゆるモノが俎上に上がっている」(西村グループ長)と明かす。これらを淘汰せず、特徴ごとに分類。実際に各社が現場で使って意見を出し合い、磨きをかけていく仕組みだ。対策を講じることによりコストダウンや汎用化が進み、レンタルの可能性も広がると読む。
また、こうした改良・改造は分科会に参画する各社の共同開発とし、従来は開発元のゼネコンが負うことが多かった各種コストを分担する計画だ。こうすることで開発元の事業規模に左右されることなく、現場のニーズに即した優れたロボットや機械・装置を仕上げる体制を構築できる。西村グループ長は分科会活動から生まれた開発品を「『RXコンソーシアム認定』のようにして訴求するものいい」と思い描く。
分科会はこの青写真に向けたステップの一つとして、ウェブ上に各社が相互に利用できる機械や装置の情報を登録する場を設けた。各社がお互いの保有技術を共有し、相互利用のための道筋を整えていくことを想定する。併せて各技術の開発レベルを5段階で自己評価してもらい、3以上なら他社に“お試し利用”をアピールできるルールを定めた。
評価の1、2は「開発段階で改良の必要あり」「現場で適用されているものの効果の把握や改良の必要あり」など。これに対し、3―5は「普及しているが開発部門の支援が必要」「普及しており不具合も少ない。開発部門の支援も不要」「建機レンタル会社のみで対応できる」といった具合だ。各社の技術がムダになるのを防ぐ効果も期待できる。
竹中工務店はこの登録情報を利用し、1月に他社のロボットや機械・装置を自社の建設現場で活用する試みに乗り出した。竹中が利用したい技術を選び、開発した各社と課題などを抽出していく格好だ。西村グループ長は「他社が開発したモノを取り込み、実際に施工している姿を見せるのは大事なこと。それが相互利用の壁を低くする」と見ている。