スマホ開錠で無人内見・VR展示会…アイダ設計が住宅販売DX
VRで展示会シミュレーション
アイダ設計が住宅販売でデジタル変革(DX)の取り組みに力を入れている。モデルハウス内を動画で紹介するほか、部屋の内部を確認する内見を“無人”でできるIoT(モノのインターネット)システムも導入した。少子高齢化が進む中で、ITを活用した多角的な住宅提案に取り組んでいく。(さいたま・天野博光)
アイダ設計は埼玉県上尾市に本社があり、東北から九州・沖縄まで幅広く展開する木造ハウスメーカー。一戸建て分譲や注文住宅だけでなく木造の非住宅分野にも力を入れている。
現在約90ある全店舗それぞれが会員制交流サイト(SNS)のアカウントを開設して週末の情報提供などを進めている。モデルハウスのルームツアーを動画投稿サイト「ユーチューブ」で紹介したり、部屋ごとの360度パノラマビューを公開したりするなどVR(仮想現実)を活用した情報提供にも取り組む。
2023年1月にはIoTを使った不動産案内システム「無人内見システム」を導入した。利用者はウェブ上でモデルハウスの見学を予約すると現地で自分のスマートフォンでロックを開鍵でき、担当者が同行しなくても家の中を見学できる。自分のペースで部屋を自由に見られるほか、チャットやビデオ通話によりリアルタイムで問い合わせもできる。群馬県みどり市のモデルハウスに初導入して全国に展開する。
住宅建設予定地の360度画像に完成予想のコンピューターグラフィックス(CG)を重ねるシステムや、分譲住宅の外観や内部仕様を自宅でバーチャルにシミュレーションできるバーチャル住宅展示場「VRいろどりアイタウン」などのツールもそろえている。
社内でもDXへの取り組みを積極的に進める。業務デジタル化クラウドシステム「SmartDB」を22年に導入した。設計部の受付審査業務のリードタイムが3分の1に短縮。案件状況の共有・可視化によって進捗(しんちょく)確認の問い合わせも大幅に減少したという。
埼玉県上尾市の本社では会議室フロアを大幅に改装。細かく部屋区切ってオンラインで商談や打ち合わせがやりやすいスペースを設けた。松沢信幸執行役員は「少子高齢化が進んでいく中で、当社は住宅だけでなく非住宅やリフォームにも今後力を入れていきたい」と強調する。