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工場の天井空間に搬送ロボット、大成建設などが提案する新生産システムの全容

大成建設はトーヨーカネツと共同で、原料や仕掛品の保管と搬送を自動化する生産システムを製品化した。自動倉庫や生産エリア天井空間の走行路をロボットが移動し、原材料や仕掛品が入ったコンテナを同エリアに搬送する仕組み。生産現場の空間利用効率が高まり、運搬・収納作業や在庫管理の負荷低減を図れる。日系工場の国内回帰や海外企業による直接投資なども踏まえ、同システムを含めて建屋まるごと提案する。

両社が開発したのは「T―ロボットストレージ生産システム」。製造拠点の新設を検討する企業に同システムを導入した建屋を提案し、年間150億円程度の売り上げを目指す。

同システムは、立体的に組み上げたグリッド状の自動倉庫システムをベースに構築する。倉庫内には原料や仕掛品などが入ったコンテナを格納しており、ピッキング機能を備えたロボットがグリッド上部の走行路を前後左右に移動しながら自動でコンテナの入出庫や搬送作業を行う。

生産エリアの近くに走行路と連結させたメーン倉庫を、生産エリアの上部にサブ倉庫を配置。これにより工程が多岐にわたる場合も原料や仕掛品をタイムリーに供給でき、生産効率の向上が見込める。生産エリアのフロア上に仕掛品などを一時保管するスペースが不要となり、生産現場の空間の有効利用を図れる。

また部品の格納場所の設定変更や走行路の変更・延長、サブ倉庫の増設などを容易に行える。将来の工場の拡張に備えた柔軟なレイアウト設計が可能だ。

両社は今後、工場の自動化・省人化やスペース効率の改善といった利点を訴求し、半導体や電子部品、機械など幅広い業種のメーカーの需要を取り込んでいく。新規顧客の開拓にも役立てる考えだ。

日刊工業新聞 2024年05月08日

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