「ペロブスカイト太陽電池」採用を主導、環境省が政府施設に導入目標
環境省は2024年度内に政府施設へのペロブスカイト太陽電池の導入目標を決める。設置に適した建物や場所を調査し、実現可能な目標を設定する。同太陽電池は現状のシリコン系太陽電池の重さに耐えられない屋根や壁面、窓にも取り付けられるため、導入量を増やせる。政府が率先して活用することで、次世代太陽電池として本命視される同太陽電池の普及につなげる。
導入目標の対象となるのは、東京・霞が関の各府省庁の建物や地方事務所、自衛隊基地など政府の全施設。屋上や屋根以外に壁面や窓にも設置する。壁面については、太陽電池を固定するアンカーボルトを打ち込めるコンクリートを基本とする。また、劣化も考慮して築40年以内を目安とする。
ペロブスカイト太陽電池は材料費や製造コストが安価なため、普及に期待がかかる。積水化学工業や東芝、パナソニックホールディングス(HD)、カネカなどが事業化に向けた開発を進めている。
すでに一部の民間では採用の動きが顕在化している。東京電力HDは都内に建設する本社ビルについて、積水化学製ペロブスカイト太陽電池を壁面に採用することを決めた。出力は1000キロワット超を計画している。
現在、政府はシリコン系太陽発電の設置を進めており、22年度末までに各府省庁の900以上の施設に1万5000キロワットを導入済み。施設更新を予定している防衛省を除くと、政府全体で30年度までに5万7000キロワットを追加設置する。今後はペロブスカイト太陽電池の採用を主導する。
日刊工業新聞 2024年05月06日