世界販売苦戦の日産、昨年度344万台に下方修正の要因
日産自動車の世界販売が苦戦している。2024年3月期販売見通しは344万台で前期比4・1%増となるものの、2月に公表した目標値(355万台)には届かない。新経営計画で掲げた27年3月期に100万台の販売増に向け、サプライヤーと連携したコスト競争力強化がカギを握る。(編集委員・村上毅)
世界販売目標の未達などを踏まえ、24年3月期連結業績予想の売上高を2月公表値比4000億円減の12兆6000億円(前期比18・9%増)、営業利益を同900億円減の5300億円(同40・5%増)、当期利益を同200億円減の3700億円(同66・7%増)にそれぞれ下方修正した。
世界販売台数については期初に400万台(同21・0%増)を目標に掲げていたが、23年7月に370万台、24年2月に355万台と引き下げた。中国での販売減に加え、米国などの市場環境の激化、日本国内での物流逼迫(ひっぱく)が影響した。
今回、業績予想の下方修正ではサプライヤーのコスト負担軽減支援で500億円を計上した。内田誠社長は「新経営計画の作成を進める中で、当初見込んでいた販売台数を実現するのが難しいモデルが判明した。投資を進めてきたサプライヤーに経済的な負担を強いるため、負担を軽減する取り組みの実施を決めた」と説明する。
次世代電気自動車(EV)でコストの30%削減を目標に掲げる中、競争力を強化することが不可欠だ。内田社長は「我々だけでできる話ではない。サプライヤーとのパートナーシップの下でコスト最適、プロセス最適を図る。将来について共に成長したい」と力を込める。
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日刊工業新聞 2024年04月22日