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国際卓越大公募に再挑戦、筑波大学の柱は「学際性」と「国際性」

国際卓越大公募に再挑戦、筑波大学の柱は「学際性」と「国際性」

記者懇談会で説明する永田学長(右から2人目)

筑波大学国際卓越研究大学の公募第2弾に、国立大学で最大規模の大学基金の整備と研究・教育の学際性、国際性を柱に応募する。1日付で新設した資金の調達・運用を手がける事業・ファイナンス局では、他の国立大との共同運用や人材育成まで視野に入れる点が目を引く。大型産学連携や元留学生の組織化など、同大の強みを基金と関連付ける戦略が注目される。(編集委員・山本佳世子)

筑波大学の事業・ファイナンス局は①財源の多様化②基金の造成③運用収入の拡大―を手がける。運営費交付金をみる従来の財務担当理事と別に、同局を担当する理事、最高財務責任者(CFO)、資金運用委員会の過半数でそれぞれ外部人材を据えた。他大学はまだ、これだけの体制はできていないという。

さらに同局で専門人材として学内職員を育成する「筑波大学運用モデル」確立を目指す。他大学からの研修者受け入れや、他大学との共同運用を視野に入れる。永田恭介学長は国立大学協会会長でもあり、国立大の共通基盤となるシステム構築を以前から思案してきた。基金運用はその目玉となる可能性がある。永田学長は3月末に開いた記者懇談会で「新方式のプロセスを多くの大学に伝えたい」と強調した。

同大の自己資金は2023年度で約400億円。用途指定の寄付などを除き、基金の複利運用に回す分は約50億円だ。まずは両方を1ケタずつ上げる。資金調達の専門家「ファンドレイザー」は1人年約8000万円を獲得するレベルに成長。23年秋の開学50周年では寄付11億円を集めた。

原資の獲得では産学連携事業「ITF.F」も有望だ。通常の上を行く賃料と共同研究費、コンサルティング収入が期待でき、大学債のうち150億円を使って新拠点を建設する。大学の研究成果を土台とした、まさに投資事業だ。縦割りの伝統大学と異なり同大は学際融合が売りで、入居企業もスポーツや小売り、金融と多彩だ。

一方、国際性の面ではマレーシア校を9月に開設する。日本の大学が学士課程における海外分校を設置するのは初だ。同大の全学生に占める留学生比率は14%弱と国立大トップクラスだが、大学院が中心で学部生は他大学と同様に少ない課題がある。50周年を機に各国の同窓生組織を整備中で留学生や、各国で相応の地位を占める元留学生からの寄付の増加を期待している。

国際卓越大は世界最高水準の研究大学に向け、政府の「10兆円大学ファンド」の運用益で国内数大学を支援するもの。23年春の初回に10大学が応募したが、東北大学のみが認定候補となった。初回振り返りは、文部科学省が各大学と細かく実施している。筑波大の場合は「学際性や国際性をもっと強調すべきだと理解した。10年先ではなく20―30年先の高い志を求められている」(永田学長)。24年度中とされる2回目の公募では、これら研究・教育の特色に事業・ファイナンス計画を連動させた戦略が期待されそうだ。

日刊工業新聞 2024年04月11日
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
国際卓越研究大学の第二弾のポイントは、『初回プランをどのように変えて勝負してくるか』だと思います。その意味で認定候補になった東北大を除き、初回は試行だったといえそうです。個人的に関心を持っているのは「他大学への貢献や波及をどう生み出すか」です。応募しない大半の大学が国際卓越大を応援するとしたら、なんといってもこれが欠かせません。国大協会長を何年も務める筑波大の永田学長が、国立大の共通システム構築をリードするなら、それは大いに意味も可能性もあると感じました。

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