エネルギー密度1kg当たり20W時超…電解液に水溶液、クオルテックが大容量EDLC試作
クオルテックは電解液に水溶液を使う大容量の電気二重層キャパシター(EDLC)を試作した。市販品の主流となっている電解液に有機溶媒を用いたEDLCを、大きく上回るエネルギー密度を確認。水溶液は不燃性であるため、安全性が高く、製造工程を簡易にできる可能性がある。車の減速エネルギー回生システムの効率化をはじめ、EDLCの適用範囲を拡大する技術として、電子部品や完成車各社に実用化の提案を進める。
試作したEDLCは電解液に過塩素酸ナトリウム水溶液を採用してエネルギー密度が1キログラム当たり20ワット時を超えた。クオルテックは2017年に有機溶媒よりも内部抵抗の小さい過塩素酸ナトリウム水溶液が、有機溶媒同等の3・2ボルトの分解電圧を持つことを発見、学会発表していた。
EDLCは高速の充放電とサイクル寿命が長いのが特徴。一方で市販品のエネルギー密度は1キログラム当たり10ワット時に満たず、車や産業機器の蓄電デバイスに普及するが、サイズの問題もあって用途が限られていた。
大容量のEDLCが安価な量産コストで実現すれば、回生エネルギーの有効活用による車の燃費・電費改善、再生可能エネルギーの蓄電などに適用範囲の拡大が期待できる。
クオルテックは研究開発を進めるEDLC関連技術について、自社で完成品として製造せず、ノウハウや特許をメーカーに提供して対価を得るビジネスを構想している。
日刊工業新聞 2024年4月4日