九州工大がリカレントで新会社…中小企業を意識した新モデルの中身
九州工業大学は社会人のリカレント(学び直し)教育を手がける全額出資子会社を4月1日付で設立する。他の大学や教育・研修会社と研修用コンテンツのプラットフォーム(基盤)を構築し、他の大学・企業が制作したコンテンツも活用する方向。ITやデータサイエンス(DS)、経営など多様な講座を開設する。地元の中堅製造業の社員や、幅広い業種の転職希望者らの利用を見込む。
指定国立大学以外の国立大が研修事業子会社を設立するのは初めて。地方の中堅・中小企業を意識した新モデルとして注目される。
新会社名は「Kyutech ARISE」(キューテックアライズ)で、資本金は3000万円。本社は飯塚キャンパス(福岡県飯塚市)に置き、研修、就業支援、コミュニティー構築の3事業を手がける。
研修はオンライン形式を採用。エンジニアのキャリアアップに向け、複数の大学や企業のコンテンツを九州工大で監修する形を検討している。中堅製造業に加え、全国の企業・個人の活用を見込む。
コースはDSなどのほか、高度ソフトウエア、物流や会計など各種の情報システムによるデジタル変革(DX)、飛行ロボット(ドローン)測量など専門的なものも設ける。例えば車やロボットなどモビリティーの画像処理で人工知能(AI)の深層学習を扱う講座は、工場の不良品検出に生かせる。同大が15年以上の実績を持つ、学校における情報教育の指導者向け基礎講座も新会社で引き継ぐ。
一方、就業支援では、都市部の企業人がITやDSの受講を経て、地方企業で副業の経験を積んでから転職する形などを想定する。同大関連の企業や修了生のコミュニティーを構築し、エンジニアの生涯にわたる学びと活躍を後押しする。
日刊工業新聞 2024年03月28日