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合金系、高温で高耐久…日本触媒が潜熱蓄熱体

合金系、高温で高耐久…日本触媒が潜熱蓄熱体

h-MEPCMを成型体に加工したもの(ハニカム形状)

日本触媒は合金系の潜熱蓄熱マイクロカプセル(h―MEPCM)を用いた成型体のサンプル提供を始めた。2027年の販売を目指す。h―MEPCMの成型体は金属が溶解することで、潜熱として高温の熱を蓄え、放出することができる。この特性を生かし、廃熱の再利用や熱制御などへの活用を想定。サンプルは研究開発用として提供し、用途などを共同研究する。今後は市場開拓にも取り組み、30年の利益貢献を目指す。

h―MEPCMはアルミシリコン合金などの金属の核をセラミックスで覆った粒子で、北海道大学などが開発した。日本触媒は姫路製造所(兵庫県姫路市)において、h―MEPCMをラボレベルで製造。これを独自の触媒製造技術によってペレットやハニカム形状などの成型体に加工し、加熱機器メーカーや部品メーカーに提供を始めた。販売開始に向け生産プロセスなども見直し、量産体制を確立する。

h―MEPCMはアルミシリコン合金を核にした場合は577度C付近で溶解し、熱を蓄える。核を覆うセラミックスの融点は2000度Cほどのため、固体のまま使用できる。れんがなど従来の顕熱蓄熱体に比べ、温度変化50度Cで放熱した場合は約4倍と高い蓄熱密度を持つ。耐久試験として、融点温度まで1000回上げ下げしても漏れないことも確認した。

電炉などで出る廃熱を予熱として使う用途や、電気自動車(EV)で電池の熱を蓄熱し暖房として活用する用途などを想定。「温暖化防止に有効な新しい技術で、共同研究の意義は大きい」(日本触媒)と手応えを示す。

日刊工業新聞 2024年03月20日

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