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正社員平均5.91%上昇…24春闘、外食・小売り・サービス業の高水準賃上げ際立つ

2024年春季労使交渉(春闘)は人手不足を背景に、外食や小売り・サービス業の高水準の賃上げが際立つ。流通や外食、繊維などの労働組合が加盟するUAゼンセンの集計(14日10時時点)によると、正社員の1人当たり平均の妥結総合計(ベースアップ、定期昇給込み)は5・91%(1万8198円)で前年同時期の4・56%(1万3830円)を大幅に上回った。ベースアップ(ベア)だけでも物価上昇率を上回る4・05%に達した。

24年春闘の第1のヤマ場を終えた時点で、大企業を中心とする正社員(127組合)とパートタイム(104組合)などの妥結状況を集計した。80万人強の賃上げが決定したことになる。正社員、パートタイムとも12年の同団体結成以降で最高となった。正社員では約半数にあたる68組合で満額回答を引き出し、うち13組合は要求を上回る回答が出た。

高水準の妥結額の裏には人材確保や定着へ意欲的な賃上げに踏み切る経営判断がある。「餃子の王将ユニオン」は正社員の賃金をベア、定昇合わせて11・49%、「丸亀製麺」などを運営するトリドールグループ労組も9・98%の引き上げで会社側と妥結した。他産業を引き離す。

今回、公表された一次集計によるとパートタイムの賃上げ率は6・45%(時給70・8円)で、正社員を8年連続で上回る。イオングループが春闘相場をけん引する流れは地方にも広がっている。

松浦昭彦会長(写真)は「物価上昇をクリアできる賃上げ実現には一定の結果を出すことができた」と手応えを示した。

日刊工業新聞 2024年03月15日

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