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CO2吸収速度2倍…都立大、DACシステム効率向上

CO2吸収速度2倍…都立大、DACシステム効率向上

試験管にCO2吸収材を入れて実験(東京都立大提供)

東京都立大学の曹芙蓉大学院生と吉川聡一助教、山添誠司教授は、固液相分離型二酸化炭素(CO2)吸収材の吸収速度を2倍に向上させた。吸収液がCO2を吸うと固まるため、吸った分だけを吸収液から分離回収できる。直接大気捕集(DAC)システムの効率向上につなげる。

イソホロンジアミン(IPDA)がCO2とカルバミン酸を作る反応を利用する。IPDAを水に溶かして吸収液とし、CO2を吸わせて沈殿させる。固体を分離回収してから80―90度Cに温めてCO2を脱離させる。

今回、吸収液の配合比を調整して吸収速度を向上させた。IPDAが多過ぎると粘度が上がるため最適な条件を探した。実験ではIPDA1モル当たり1時間で430ミリモルのCO2を吸収した。

吸収液は水の比熱が大きいため、脱離時の熱エネルギーの多くが水を温めることに使われる。吸収液からカルバミン酸を固体として分離すれば水を温めてしまうロスを抑えられる。同時にIPDAのカルバミン酸は水と共存させると脱離温度が低下する。実験では0・04%のCO2を吸わせて、2―4%のCO2ガスとして放出された。50倍から100倍ほど濃縮できた。

IPDAのカルバミン酸は大気中で60度Cまで安定し、CO2を運ぶ媒体としても利用できる。吸収と地下貯留などの場所が離れている場合に対応しやすい。今後、脱離時の温度低減を進める。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)事業で実施した。詳細は18日から日本大学理工学部船橋キャンパスで開かれる日本化学会第104春季年会で説明する。

日刊工業新聞 2024年03月14日

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