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シャープとの統合がなくなったジャパンディスプレイ。次はJOLEDと

本間CEO、両者の大株主の産業革新機構と協議
シャープとの統合がなくなったジャパンディスプレイ。次はJOLEDと

本間氏

 中小型液晶大手のジャパンディスプレイ(JDI)の本間充会長は23日、インタビューに応じ、次世代ディスプレーの有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)メーカー「JOLED(ジェイオーレッド)」との統合について、子会社化を含め、同社大株主の産業革新機構と協議していることを明らかにした。

 有機ELは、テレビやスマートフォンの画面に利用されている。液晶に比べパネルを薄く軽くでき、消費電力も少ないのが特長。世界市場では韓国メーカーが先行、日本勢は出遅れている。JOLEDには議決権ベースで革新機構が75%、JDIが15%を、それぞれ出資している。

 本間会長は「(JDIとJOLEDは)グループとして既に仕事をしている。経営陣が資本政策を明確に打ち出すことで、本格的融和が生まれる」と強調。統合は技術的な相乗効果が大きく、幅広い顧客ニーズに対応できるとの考えを示した。

 また、本間会長は「有機ELを2018年半ばには量産できる」と語り、技術で差別化を進めて韓国勢に対抗する方針も示した。

装置メーカーは困惑


 シャープとの協業が破談した中小型液晶大手ジャパンディスプレイ(JDI)を心配する声もある。「液晶だけならどう転んでも良かったが、有機ELは違う。JDIが一番影響を受けるのでは」と、業界関係者は指摘する。

 3月上旬、JDIは有機ELパネル量産ライン構築に向け、装置メーカーなどに「開発資金は厳しいが、何とか協力してほしい」と訴えた。

 JDIの国内工場にある有機ELの既存の試作ラインは「量産に不向きな工程がある」(JDI幹部)。このため量産ラインには、中小型で量産実績がある韓国勢と同じ工程を含む方式を検討中で、韓国系装置メーカーからターンキーシステムの提案も受けた。だがJDIは、革新機構の傘下。このため、日本製装置を採用するべきだとする「オールジャパン」の大義とのはざまで揺れている。
日刊工業新聞2016年3月24日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
両社の出口戦略は必要で、統合はやってもいいと思うが、JDIの生き残り策にはならない。グローバルで戦うならLGなりと組むとかにならざるを得ないか。

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