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経営者10人発掘へ、ビズリーチの大学発スタートアップ支援の仕組み

ビズリーチ(東京都渋谷区、酒井哲也社長)は、4大学と連携する大学発スタートアップ(SU)支援で、2024年に10人の経営者を発掘する。同社サイトで副業・兼業限定の“客員起業家”を公募し、大学発SUを起業前から支援する。23年度は慶応義塾大学と2件の起業につなげた。慶大のほか東京工業大学東京理科大学、神戸大学と連携しており、それぞれの大学に合ったモデルを確立する。

副業などの形で研究者や発明者のパートナーとなるSUの起業・経営人材を、ビズリーチの転職サイト「ビズリーチ」を使って大学が公募する仕組み。“お試し”でのマッチングの結果を踏まえ、SUに転職してもらうケースも想定する。

第1弾の慶大とは22年12月に開始。23年春にかけて2回募集したところ、4件の研究シーズに対して376人が応募。別のSUに勤める30代の技術戦略担当者など5人を選んだ。

建築の3次元(3D)プリント技術では、SU勤務経験がある金融専門家を採用。週1回の副業として資金調達計画の策定などを支援してもらい、DigitalArchi(デジタルアーキ、神奈川県鎌倉市)の創業につなげた。

他の3大学とは23年秋に実施。東京理科大の案件では対象とする技術がパワーアシストスーツと身近だったこともあり、644人の応募があった。神戸大の募集は関西在住の人材からの反響が大きかった。

同社はこの活動を社会貢献の「みらい投資プロジェクト」の一つとして無償で手がける。大学は低コストで優秀な人材にアプローチできる。ただ大学が数百人の応募者から選考するのは負担が大きく、採用専門人材の配置などが課題になりそうだ。

日刊工業新聞 2024年02月26日
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
活動はビズリーチのビジネスと思っていたので、同社は無償で関わるのだと知って驚きました。これは「ビズリーチのシステムを使って、各大学が公募・選定してよいですよ」という仕組みなので、同社も過度の負担にならない、ということだそうです。一方で人材紹介会社と異なり、直接の仲介に関わらないわけですから、応募をかける大学が採用者を決めることになります。となると1件に約650人など押し寄せて、大学は嬉しいような苦しいような…大変さがうかがわれます。継続実施のためには工夫が必要になりそうです。

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