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巨大工場動き出す“TSMC城下町”で「エアタクシー」に好機の理由

千載一遇の好機「TSMC城下町」で捉える(上)西日本航空機サービス

台湾積体電路製造(TSMC)が熊本県菊陽町に構えた巨大工場が動き出す。24日に開所式が開かれる予定で、2024年中には本格稼働が見込まれている。第2工場も熊本県内と6日公表され、同町での建設が有力視される。工場稼働に伴って今後は駐在員とその家族が大挙して台湾から熊本へと移り住む。ピンポイントで人が集まればビジネスチャンスが生まれる。「TSMC城下町」で、千載一遇の好機を捉えようとする地場企業の動きを探る。(2回連載)

「エアタクシー」柱に育成

西日本航空機サービスは熊本空港(熊本県益城町)の東側に隣接するエリアに社屋を置く。21年には2階建ての本社事務所棟横に約2億円を投じた小型飛行機やヘリコプターを12機程度収容できる床面積約830平方メートルの専用格納庫が完成した。17年に60%を出資したナカヤマ精密(大阪市淀川区)がグループ会社化。中山愼一社長が西日本航空機サービスの代表取締役を担う。

耐摩耗精密工具などを手がけるナカヤマ精密は菊陽町にテクニカルセンター、西原村に熊本工場と熊本県内に主要生産拠点を構える。整備用部品を提供していた中山社長が、西日本航空機サービスの創業者から「飛行機に乗らないか」と声をかけられたことで縁が深まったという。

18日で64歳となった中山社長自身も50歳前から飛行訓練を開始した後、飛行機、ヘリコプターのパイロット資格を取得している。機体の保管や管理、メンテナンスを中心に担う西日本航空機サービスが保守に続く、今後の事業の柱に育てたいのが「エアタクシー」だ。航空運送事業会社との提携によるビジネス移送や観光などでの利用を視野に入れる。

シリコンアイランド復権に向けた動きが加速する九州では、TSMC以外にも国内大手メーカーが複数の工場を置く。九州内でも県またぎの陸路移動は時間がかかる。「ヘリポートは比較的すぐに設置しやすい」(中山社長)として、要人や経営幹部らが九州の拠点間の往来を急ぐ際、ヘリを使うケースが期待できるからだ。

西日本航空機サービスはこれまで、車と同様に定期点検が欠かせない保守・管理が事業の中心で、コロナ禍の影響は少なかった。社長は23年11月、ナカヤマ精密で総務畑などを歩んできた藤嶋博文氏が就いた。モノづくり企業で培ったノウハウをサービスに波及させて事業拡大できるか。観光やビジネス用途では経営方針がカギを握る。「模索しながら取り組みたい」(藤嶋氏)と、“安定飛行”に向けた挑戦が続く。

▽所在地=熊本県菊陽町戸次1591の1▽設立=81年(昭56)2月▽事業内容=航空機の機体保管・管理・整備など

インタビュー/中山愼一代表取締役(ナカヤマ精密社長)はこちら

日刊工業新聞 2024年02月21日

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