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全日空、国内線システムにトラブル

システム共有で他社にも影響広がる
 全日本空輸(ANA)は22日、国内線の予約システム「エイブル」に障害が発生し、146便以上が欠航、390便以上で遅延し、約7万人に影響が出た。システム障害の原因は特定できてないものの、ANAでは4台あるデータベースサーバ間の同期を取る機能に不具合が発生しているとみて、修復の作業を進め、23日始発便からの完全復旧を目指す。

 ANAによると、同日3時頃にデータベースサーバ4台のうち1台が停止し、その1台を切り離して復旧作業をしていたものの、8時過ぎに1台ずつ停止していき、8時20分頃、4台全てが停止した。これにより、ANAが就航する国内の49空港で予約や搭乗手続きなどができなくなり、欠航や遅延が相次いだ。空港のチェックインカウンターには、搭乗できなくなった人で、溢れかえった。

 ANAは4台での復旧を目指して作業を進めていたが、1台を立ち上げると、1台が停止するという不安定な状況が続いたため、1台での運用を決断。11時半頃に空港の搭乗手続きに機能を限定して復旧した。1台でも運用できる設計にはなっているものの、これまでに1台での運用の経験がなかったことから、サーバへの負荷を考慮し、機能を限定したため、終日、ウェブサイトからの予約などはできない状況に陥った。
 
 エイブルは4台のデータベースサーバで、予約や発券、搭乗などのデータを処理している。ANAでは複数のサーバを同時に立ち上げることができないという状況から、データベースサーバ間の同期を取る機能に、不具合の原因があるとみて、同期を取る機能に関わるハードの部品やアプリケーションに絞り込み、対応を進めている。
 
 エイブルは航空券の予約や発券、販売、搭乗などを統制する基幹システムで、ANAが独自に構築し、2013年2月にそれまでのメインフレームから、オープンシステムに刷新して運用している。
 2月24日にも、18便が遅延するシステム障害が発生しているが、プログラム変更における人為的な作業ミスで、これまでに同様の事象が発生したことはないという。連休明けの22日には、計画的なメンテナンスやプログラム変更などの作業はなかったとしている。
 
 ANAはスターフライヤーやエア・ドゥ、アイベックス・エアラインズなど、国内の航空会社に出資し、コードシェアなどでシステムを共有しており、22日のシステム障害では、これらの会社でも欠航や遅延が相次ぐなど、影響が広がった。
ニュースイッチオリジナル
高屋優理
高屋優理 Takaya Yuri 編集局第二産業部 記者
この日のシステム障害は、欠航と遅延を合わせて379便に影響がでました。ANAの計画便数は約800便で、半分が影響を受けたことになります。改めて、飛行機はシステムで飛んでいる、ということを感じます。

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