広告審査業務を生成AIで効率化、大日印が印刷物の校正支援サービス
大日本印刷(DNP)は印刷物の校正・校閲業務を効率化するクラウドサービスに、生成人工知能(AI)を活用した機能を9月にも追加する。景品表示法などの法律と抵触しているかどうかや、根拠資料との矛盾の有無を、生成AIが学習した知識と照合して審査。校正負荷を軽減し、人的ミスやコストの削減につなげる。同サービスの初期費用は800万円(消費税抜き)から、月額費用は60万円(同)から。2025年度に累計40億円の売り上げを目指す。
「DNP AI審査サービス(校正・回覧業務)」に新機能を追加する。新機能では米オープンAIの生成AI「チャットGPT」などを活用。広告や製品パッケージといった印刷物の表記が景品表示法や薬機法などの法律に抵触していないかを、生成AIが学習した一般知識と照合して審査する。有利誤認や優良誤認表示の防止につながる。
広告物の表記の根拠となる資料も生成AIが学習し、矛盾の有無を確認する。そのほか、英語の文法やスペルミスなどの判定も可能になる。
AI審査サービスは人工知能を使った光学式文字読み取り装置(AI―OCR)と自然言語処理を活用している。発行物のデザイン案と原稿を比較して差異を見つけるほか、学習したルールに基づき必要なマークの有無などを確認する。表組みの校正もできる。
製品パッケージや広告物の審査は複数の部門や担当者が原稿と照合しながら行う例が多く、コスト負担と人的ミスのリスクが課題になる。DNPは同サービスにより審査業務をワークフローを含めて効率化できるとし、金融や製薬、化粧品メーカーなどに幅広く提案していく。承認・回覧工程のオンライン化でテレワークでの作業にも対応する。
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日刊工業新聞 2024年02月07日