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生成AIで統合報告書評価、九大発ベンチャーが新サービス

生成AIで統合報告書評価、九大発ベンチャーが新サービス

統合報告書の分析イメージ

企業価値向上サポート

aiESG(福岡市博多区、馬奈木俊介代表=九州大学主幹教授)は、企業が発刊する統合報告書の評価サービスを始めた。開発した生成AI(人工知能)がESG(環境・社会・企業統治)に関連した社会要請を分析し、統合報告書の記載内容を点数化する。英語版を対象としており、日本企業は世界的な潮流を基準に表現などの強みや弱みが分かり、改善によって企業価値向上が期待できる。九州電力が採用を決めた。

aiESGが開発した生成AIは、ウェブ上にあるESG関連のニュースや統合報告書を学習し、社会要請との関連の強さを予測する。評価する企業の統合報告書の英語版PDFの文書を読み、社会要請との整合性を95%の精度で判定して複数の項目で採点する。

環境や人権問題に対する企業への要請がめまぐるしく変化する中で、企業は最新の要請と照らし、客観的に自社の統合報告書を評価してもらえる。ウェブ上にある世界中の報告書との比較が可能で、業界の潮流や競合の動向との乖離(かいり)、目標の陳腐化が分かる。また、用語の記載があっても表現が弱いなどの改善点もつかめる。

足元ではESGと財務情報が記載された統合報告書が格付けに影響したり、取引先からの評価を左右したりするようになった。生成AIの分析結果を参考にすることで、企業価値の向上や海外での取引拡大が期待できる。九州電力が採用を決めたほか、日東電工なども利用を検討する。

aiESGは九州大学発のベンチャー。国際機関や政府などが持つ膨大なデータからESGを評価する基準を構築しており、2023年春に商品・サービスの分析を開始した。数値化が難しいESGを定量評価できることから、20社が採用している。

日刊工業新聞 2024年02月01日
松木喬
松木喬 Matsuki Takashi 編集局第二産業部 編集委員
英語の統合報告書を評価できます。全世界の統合報告書を基準に評価できるので、「海外基準」で自社のポジションが分かります。「敵を知る」ではありませんが、トレンドをつくっている欧米目線の評価は、せっかく発刊する統合報告書の質を高めるヒントのになると思いました。それに多くの人に読んでもらえる機会としたいです。

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