仮想・現実融合空間で感情可視化、ハイブリッドワークで効果あり?
日建設計は複合現実(MR)技術を使って仮想と現実空間を融合させたワークプレイスに、感情の可視化機能を追加した。発言者の声を元に喜びや怒りなどの感情を判断し、色で表現する。ハイブリッドワーク環境でのコミュニケーション機能を検証するのが狙い。検証で得た知見を活用し、より付加価値の高いオフィスの提案やコンサルティング機能の強化につなげる。
感情の可視化機能を盛り込んだのは、ワークプレイス「Cyber―Physical Workplace(CPW)」。現実空間と仮想空間にいる人同士の円滑なコミュニケーションや生産性向上を狙い、ホロラボ(東京都品川区)と共同開発して以降、日建設計社内でデータを収集・分析する実証実験に取り組んでいる。
CPWを実際に使う場合、例えばオフィスにいる人とリモートワーク中の人がそれぞれゴーグル型端末を装着。独自のアルゴリズムを使って発言者の音声を分析し、「平常」「喜び」「怒り」「悲しみ」の四つの感情に色分けして端末の画面に表示する。
近年は在宅勤務を中心とするテレワークの浸透に伴い、デジタルツールを活用する機会が増える一方で対面に比べてコミュニケーションが難しくなっているとの指摘がある。特にアバターを使った交流では、相手の感情やその変化を読み取りにくい。
同社は今後、オフィスにいる人同士やリモートワークの人同士のコミュニケーションも含めて実証実験を重ねることで、ハイブリッドワーク環境下で求められる機能を検証していく。知見や成果を積み上げ、コンサルティング機能の強化を図る。
日刊工業新聞 2024年02月01日