横浜で水素社会の幕開け。トヨタなどが「作って、運んで、使う」実証
17年、水素サプライチェーンが稼働。全国展開を視野
横浜市と川崎市の臨海部で2017年、水素社会を実感できそうな実証事業が始める。トヨタ自動車、東芝、岩谷産業などが風力発電と水で水素を作ってためて、運んで燃料電池(FC)フォークリフトで使う"水素サプライチェーン"実際に動かす。実証への参加企業らは、カーボン・フリー(二酸化炭素排出ゼロ)で作った水素を地域で使うエネルギーの地産地消モデルとして全国展開を視野に入れている。
実証事業には3社以外に神奈川県、横浜市、川崎市が参加し、環境省の事業として18年度まで実施する。トヨタの友山茂樹専務役員は「水素を安定供給するサプライチェーン構築が重要になる」と決意を語った。
風力発電は、高層ビルや観覧車、赤レンガ倉庫が並ぶ横浜市の「みなとみらい地区」の対岸にある。水を電気分解して水素を製造する装置、水素貯蔵タンクを風力発電の近くに設置。風力発電の電力を使って水素を作る。
風が吹かない時は蓄電池から電力を供給して水分解装置を動かす。蓄電池にも風力発電の電力を充電しておく。タンクは2日分の水素を貯蔵できる容量に設計した。実証ではあるが、実用化を見すえ「水素供給ができなくてFCフォークリフト利用者に迷惑をかけないようにする」(友山専務)。
水素は圧縮して小型な4トントラックに充填して運ぶ。配送先は4カ所、合計12台のFCフォークリフトに供給する。横浜市中央卸売市場は短い距離の移動が多く、キリンビールは重量物の搬送、ニチレイは低温環境と、フォークリフトの使用形態が違う工場や倉庫を選んだ。
実用化に向けて注目されるのがコストだ。「量産効果、規制緩和で水素価格をどこまで下げられるか検証したい」(友山専務)という。水素ステーションではハイブリッド車の燃料と同等以下の価格で水素が販売されている。東芝の次世代エネルギー事業開発プロジェクトチームの大田裕之統括部長は「電動フォークリフトよりも安くしないと世の中に受け入れられない」と目安を示した。
「全国各地のモデルケースになるようにしたい」(友山専務)といい、すでに北海道の大規模風力発電所から電力を首都圏に送って水素を製造するような事業も検討している。東芝の大田部長も「再生エネ由来の水素を地産地消するための重要なパイロット事業であり、未来社会を先取りしている」と語る。
開港によって日本の近代化が始まった横浜から、水素社会の幕も上がりそうだ。
水素を運ぶトラックは、水素を一度に270ノルマル立法メートル運べるそうです。燃料電池フォークリフトは1回で13・4ノルマル立法メートルの水素を充填します(3分で充填、8時間稼働)。なのでトラックにはフォークリフト20台の水素を運べる計算になります。 実証で使う12台分のフォークリフトは余裕で賄えます。
仮に風力が発電した電力を水素にせず、蓄電池にして運ぶ場合を考えてみました。
まず、電動フォークリフトの充電量がわからないのでHPを検索してみると18kwhという数値がありました(メーカー代理店HPには18kwとあるが、おそらく18kwhのこと。日産リーフが24kwhなので18kwhなのかな)。
<18kwh×20台=360kwh>
これはリーフの蓄電池15台分。家庭用蓄電池(12kwh)だと30台分。12kwhの蓄電池1台の重さを200kgとすると、30台分だと6000kg。つまり6トン。トヨタなどの実証では4トン車でフォークリフト20台分の水素を運びます。水素はエネルギーを少ない体積につめこめることがわかります。
また実証で使う既設の風力発電設備は年220万kwh発電するそうです。単純に計算する(220万÷18kwh)と12万2222。
発電した電力をそのまま電動フォークに使うと年12万2222回の充電ができる。ただし、発電した時と充電したい時がいつも一致しないので、実際には風力発電から蓄電池に一度、充電してから電動フォークに給電しないといけません。蓄電池は大きなものになるでしょう。
その点、水素は蓄電池よりも少ない体積にたくさんのエネルギーを貯蔵できます。場所もとらず、運びやすい。また燃料電池は発電効率が良いので、ロスも少ないです。
風力が発電した電力1kwhで、どれだけの水素が製造できるのか(H/kwh)がわからないで中途半端ですが、「貯めたり・運んだり」するのは蓄電池よりも効率が良いはずです。
【水素サプライチェーンの主な実験】
海外と日本を結ぶ「水素サプライチェーン」。2020年に稼働へ
屋根で水素製造。パナソニックが開発に名乗り
実証事業には3社以外に神奈川県、横浜市、川崎市が参加し、環境省の事業として18年度まで実施する。トヨタの友山茂樹専務役員は「水素を安定供給するサプライチェーン構築が重要になる」と決意を語った。
風力発電は、高層ビルや観覧車、赤レンガ倉庫が並ぶ横浜市の「みなとみらい地区」の対岸にある。水を電気分解して水素を製造する装置、水素貯蔵タンクを風力発電の近くに設置。風力発電の電力を使って水素を作る。
風が吹かない時は蓄電池から電力を供給して水分解装置を動かす。蓄電池にも風力発電の電力を充電しておく。タンクは2日分の水素を貯蔵できる容量に設計した。実証ではあるが、実用化を見すえ「水素供給ができなくてFCフォークリフト利用者に迷惑をかけないようにする」(友山専務)。
水素は圧縮して小型な4トントラックに充填して運ぶ。配送先は4カ所、合計12台のFCフォークリフトに供給する。横浜市中央卸売市場は短い距離の移動が多く、キリンビールは重量物の搬送、ニチレイは低温環境と、フォークリフトの使用形態が違う工場や倉庫を選んだ。
実用化に向けて注目されるのがコストだ。「量産効果、規制緩和で水素価格をどこまで下げられるか検証したい」(友山専務)という。水素ステーションではハイブリッド車の燃料と同等以下の価格で水素が販売されている。東芝の次世代エネルギー事業開発プロジェクトチームの大田裕之統括部長は「電動フォークリフトよりも安くしないと世の中に受け入れられない」と目安を示した。
「全国各地のモデルケースになるようにしたい」(友山専務)といい、すでに北海道の大規模風力発電所から電力を首都圏に送って水素を製造するような事業も検討している。東芝の大田部長も「再生エネ由来の水素を地産地消するための重要なパイロット事業であり、未来社会を先取りしている」と語る。
開港によって日本の近代化が始まった横浜から、水素社会の幕も上がりそうだ。
【検証】水素の貯蔵は充電と比べどれだけ効率的か
水素を運ぶトラックは、水素を一度に270ノルマル立法メートル運べるそうです。燃料電池フォークリフトは1回で13・4ノルマル立法メートルの水素を充填します(3分で充填、8時間稼働)。なのでトラックにはフォークリフト20台の水素を運べる計算になります。 実証で使う12台分のフォークリフトは余裕で賄えます。
仮に風力が発電した電力を水素にせず、蓄電池にして運ぶ場合を考えてみました。
まず、電動フォークリフトの充電量がわからないのでHPを検索してみると18kwhという数値がありました(メーカー代理店HPには18kwとあるが、おそらく18kwhのこと。日産リーフが24kwhなので18kwhなのかな)。
<18kwh×20台=360kwh>
これはリーフの蓄電池15台分。家庭用蓄電池(12kwh)だと30台分。12kwhの蓄電池1台の重さを200kgとすると、30台分だと6000kg。つまり6トン。トヨタなどの実証では4トン車でフォークリフト20台分の水素を運びます。水素はエネルギーを少ない体積につめこめることがわかります。
また実証で使う既設の風力発電設備は年220万kwh発電するそうです。単純に計算する(220万÷18kwh)と12万2222。
発電した電力をそのまま電動フォークに使うと年12万2222回の充電ができる。ただし、発電した時と充電したい時がいつも一致しないので、実際には風力発電から蓄電池に一度、充電してから電動フォークに給電しないといけません。蓄電池は大きなものになるでしょう。
その点、水素は蓄電池よりも少ない体積にたくさんのエネルギーを貯蔵できます。場所もとらず、運びやすい。また燃料電池は発電効率が良いので、ロスも少ないです。
風力が発電した電力1kwhで、どれだけの水素が製造できるのか(H/kwh)がわからないで中途半端ですが、「貯めたり・運んだり」するのは蓄電池よりも効率が良いはずです。
【水素サプライチェーンの主な実験】
海外と日本を結ぶ「水素サプライチェーン」。2020年に稼働へ
屋根で水素製造。パナソニックが開発に名乗り