日本特殊陶業は欧州唯一のエンジン点火プラグ生産拠点であるフランス工場を閉鎖した。仏工場はロシア向けが多いが、２０２２年に始まったロシアのウクライナ侵攻に伴う供給停止により、稼働率が大幅に低下。先進国で好調な高付加価値品に転換するにも生産コストが高く、閉鎖を決めた。販売機能は維持し、英国やドイツ、フランスの販売拠点を介した製品供給は続ける。

仏工場では旧来型の安価なプラグを生産しており、その多くをロシアに供給していた。一方、２２年２月に開始したウクライナ軍事侵攻により、ロシア国内の販売会社は営業を停止した。欧州地域の売上高のうち、ロシア向けは２割程度で数十億円規模。収益性はあまり良くなかったという。

欧州などの先進国では貴金属を使った付加価値の高いプラグ販売が伸びている。ただ仏工場で生産品目を高付加価値品に転換するにも人件費の高さから経済合理性がなく、閉鎖を余儀なくされた格好だ。高付加価値品は日本やタイを通じて供給する。工場の従業員には再就職を支援し、仏工場の土地は売却した。仏の販売会社は維持する。

今後、日特陶にとって欧州拠点は営業面で重要な存在となる。欧州向けの供給に加え、アフリカ地域に広がる仏語圏や英語圏に向けた国への展開が期待される。