ダイハツ不正…海外戦略に大きな痛手、供給網に影響長期化の恐れ
国土交通省がダイハツ工業のインドネシア生産3車種の「型式指定」を取り消す方針を固めたのは海外の商用車モデルとはいえ、厳しい姿勢を示したことになる。そのうちグランマックスは22年度のダイハツ車で最も生産台数が多い。同国でのトヨタ自動車向けOEM(相手先ブランド)車種では生産の多い順から4番目だが、東南アジアでトヨタグループの成長戦略を担う主力モデルの一つだ。同国でダイハツに部品を供給する日系サプライヤーも多い。生産再開の認証を取り直す期間が長引けば影響はサプライチェーン(供給網)全体へ広がりそうだ。
ダイハツが海外生産するインドネシアとマレーシアでは通常に近い出荷・生産を再開した直後だけに、グローバル化戦略の痛手となる。海外ではサプライヤーも供給継続を見込んでいたが、見直しを迫られる。関西の有力サプライヤー役員は「当社はダイハツとの取引こそ他社に比べ少ないが、ダイハツ向けではむしろ海外の方が多い」と話す。
ダイハツの国内全工場停止や型式指定の取り消しで、サプライヤーもダイハツ向け生産を止める。しかし、ダイハツから顧客が流れると予想される他メーカーへの供給に単純に切り替えるわけにもいかない。サプライヤー役員は「いずれ再開するダイハツの生産に備えが必要。安易に他メーカー向けを増やせない」と悩む。
今後は型式指定取り消しが国内主力車のどこまで及ぶかが焦点になる。生産再開へ向け特に中小サプライヤーを支え「ダイハツ離れ」を防ぐ必要に迫られそうだ。
日刊工業新聞 2024年01月17日