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使用済み核燃料で発電、原子力機構が実用化に乗り出す

日本原子力研究開発機構は放射性物質が発する熱や放射線を利用して発電する技術の実用化に乗り出す。熱や放射線を感知して電気に変換する熱変換素子と放射線変換素子を開発し、2025年に放射性廃棄物や使用済み核燃料を用いた発電を実証する。28年にもワット級の発電を達成し、原子炉や核燃料貯蔵施設などでの利用に向けて検討に入る。災害などの電源喪失時でも発電でき、原子炉施設などで重要機器を使える状態を作れると期待される。

熱と放射線の変換素子に放射線同位体元素を組み合わせた電池の利用例

これと並行し、原子力機構は熱と放射線の変換素子に放射線同位元素(RI)を組み合わせた電池の開発に着手しており、27年にも試作品を完成させる予定。半減期が400年と長く、発熱量が高い放射性物質「アメリシウム」を変換素子で包むことで、半永久的な電池として利用できる。深宇宙や海洋といった太陽光発電などができない極域分野での探査に応用できると見込んでいる。

熱を変換する素子には結晶構造が壊れている新材料を採用。金属と磁性体を組み合わせることで、放射性耐性を持たせて従来より電気への変換効率を高めた。放射線を変換する素子には「ニッケル―炭化ケイ素」の複合体を使い、大型放射光施設(SPring-8)放射光で原理を実証した。

ただ発電素子の変換効率は両素子とも低いため改良を進めており、研究炉の設備で発電素子の実証も実施している。

放射性物質は取り扱いが難しいという課題から、同物質が発する熱や放射線を利用する研究は少なかった。放射性物質が発する熱や放射線を電気に変換することで、廃棄物を電源にした貯蔵施設のモニタリングや電源喪失時に機器類を使用できる環境作りなどに生かせると期待される。

日刊工業新聞 2024年1月16日

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