世界トップ級の日本語処理性能…NTTの生成AI基板に熱視線、引き合い100社超
NTTは3月に提供予定の生成人工知能(AI)基盤「tsuzumi(ツヅミ)」について、百数十社から引き合いが来ていることを明らかにした。このうち約50社が利用方法を明確に提示し、10社以上が採用する意向を示している。その他の企業には検証環境をクラウド上に用意して用途開発を進めていく。各業界の特性に合わせたカスタマイズ(個別対応)を推進することでツヅミの普及につなげる。
NTTの島田明社長は「用途を明確化済みの顧客企業には、業界ごとに標準的なチューンアップを行った後、その企業が持つ独特な表現などのデータを学習させて(ツヅミを)レベルアップさせる必要がある」と説明。一方、ツヅミの用途をNTTと共に模索することを希望する企業には「クラウド上に用意したテストベッド(試験環境)でツヅミを使ってもらいながら顧客企業と一緒に開発していく形にしたい」との方針を示した。
NTTは2023年11月、生成AIの基盤となる独自の大規模言語モデル(LLM)であるツヅミを24年3月に提供すると発表した。世界トップ級の日本語処理性能に加え、LLMの性能指標であるパラメーター数を米オープンAIの「GPT―3」の約300分の1に抑えたことが特徴だ。
事前学習済み言語モデルの外部に必要なサブモジュールを追加することで、少ない追加学習量でも業界特有の言語表現や知識を効率的に学ばせることが可能。島田社長は「生成AIが使う画像処理半導体(GPU)の数を少なくできる」とし、従来の生成AIよりも料金を抑えられることに自信を示す。
既に東京海上日動火災保険とは、ツヅミを用いて音声データを整理・体系化して知識化することにより、コンタクトセンター(電話対応部門)で働くオペレーターが顧客らとの通話後の年間事務稼働時間を半減する取り組みを開始。京都大学医学部付属病院とは電子カルテに書かれた情報を二次利用可能な状態に自動変換する試験を始めている。