三井物産・双日…大手商社が東南アジアの工業インフラで攻勢かける
大手商社が東南アジアの工業インフラ事業で攻勢をかけている。三井物産はシンガポールの物流施設開発に参入し、医薬や半導体関連など先端分野の輸送需要の取り込みを狙う。双日はベトナムで屋根置き太陽光発電などを活用した低炭素型の工業団地の開発を進める。米国との対立の先鋭化で中国市場のリスクが高まる中、製造拠点の分散先として注目が高まる東南アジアを深耕する動きが活発化している。
三井物産はシンガポールの不動産開発会社ボーステッドプロジェクツや阪急阪神不動産と共同で、医薬品関連企業などが集まるトゥアス地区に物流施設を建設する。延べ床面積は約6万平方メートルで2025年春の完成を予定する。
22年に開港したトゥアス港やシンガポール中心市街地へのアクセスに優れ、同国で集積が進む半導体産業や電子商取引(EC)関連の物流需要も見込む。インドネシアやマレーシアで物流施設の開発実績がある三井物産は「シンガポールで既存倉庫の設備更新需要なども捉えていきたい」(石田一明不動産事業部第二事業室長)と市場開拓を狙う。
フィリピンやタイなどで工業団地を展開する住友商事は、高い経済成長が続くベトナム中部のクアンチ省で新たに約100ヘクタールの工業団地の販売を開始した。インドシナ半島を横断する物流動脈「東西経済回廊」の東の起点として同エリアは空港や貿易港などの物流インフラが発達しており、製造業の進出需要に対応する。
また双日はベトナム南部のドンナイ省で、26年完成予定の工業団地開発に着手した。工場の屋根に太陽光発電パネルの設置を計画するほか、石炭の代替としてガスを供給するなど「工業団地のスマート化を図る」(双日ベトナムの木ノ下忠宏社長)。低炭素化に貢献しながら同国の持続可能な発展を推進する。
日刊工業新聞 2024年01月09日