EV用軸受で攻勢、日本精工が中国でR&D拡充
日本精工は中国での研究開発(R&D)体制を拡充する。2026年までに現地のR&D部門の技術者を現状比で約30%増員し、電気自動車(EV)をはじめとする電動車向けの製品開発などを加速する。現地EVメーカーのニーズにタイムリーに応え、今後の採用増が見込まれる電動駆動装置「eアクスル」向け軸受のシェア向上などにつなげる。
日本精工は中国・江蘇省の研究開発施設を増築中で、24年8月に新棟が完成予定。現時点の技術者の人数は非公表だが、日本からの派遣を含め今後増員する。製品の設計・試作・評価・提案まで一連のプロセスを日本を経由せずに完結。EV市場でリードする中国の自動車メーカーの要望に迅速に対応し、電動車向け製品を拡販する。
中国では米テスラとEV販売台数を争う比亜迪(BYD)に加え、蔚来汽車(NIO)といった新興勢も存在感を強めている。日本精工として従来は取引が少なかった中国メーカーからの採用増につなげる。26年度までに中国市場における非日系企業の売上高比率を、21年度の40%から65%に引き上げる。
一般にエンジン車からEVに置き換わると、軸受使用量が多いトランスミッションなどの車載部品が採用されず、軸受需要が30%程度減ると言われる。
同社はeアクスル向け軸受のほか、タイヤのホイールを支える軸受と車体に取り付ける部品が一体化した「ハブユニット軸受」や、電動油圧ブレーキ用ボールネジなどの電動車向け新製品の拡販でEVシフトに伴う需要減を補完する。自動車事業で、ハイブリッド車(HEV)を含む電動車向け売上高を26年度に21年度比1200億円増やす計画。
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日刊工業新聞 2023年12月28日