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天然ガス熱分解で水素製造、IHIが新技術実用化へ

低コスト・省エネ・CO2削減

IHIは天然ガスを熱分解して水素を製造する新技術の試作機(イメージ)での実験を、横浜事業所(横浜市磯子区)で始めた。従来の水蒸気改質による製造技術に比べ、必要なエネルギーを約4割削減できる。天然ガスを加熱して水素と固体の炭素に分解するため、二酸化炭素(CO2)排出を抑えられる。試作機の製造量は1日約10キログラム。2020年代後半に1日最大100トンの製造量で実用化を目指す。

再生可能エネルギー由来の電力を熱源に天然ガスを分解する。触媒に鉄鉱石を使って低コスト化を図る。ボイラなど流動層技術を活用して鉄鉱石をハンドリングする。

今後、パートナーとなる企業を探して、20年代半ばをめどに天然ガスと鉄鉱石の産出国である米国と豪州で実証を始める計画。固体の炭素を地中などに貯留し、土壌改質や水質改善などに有効活用することを想定する。

実用化の形態は顧客への装置販売などを検討するが、今後決める。IHIが脱炭素エネルギーとして事業化を計画するアンモニアの原料に、この技術で製造した水素を活用することも視野に入れる。

日刊工業新聞 2023年12月27日

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