米の富裕層に照準、ヤンマーが「小型トラクター」オンライン販売の狙い
ヤンマーホールディングス(HD)は2―3年内をめどに、米国でトラクターのオンライン販売を始める検討に入った。同国で販売するトラクターは20馬力帯の小型車が主力で、趣味で農業を行う富裕層がメーンターゲット。米国は世界最大規模の電子商取引(EC)市場を有し、「自動車もオンラインで購入する文化がある」(長田志織取締役)ことから、オンラインを一つの武器に販売力強化につなげる。まずは米テキサス州でサービス開始を目指す。
販売対象には、ヤンマーHD製品の中でも100馬力未満のトラクターを想定する。ウェブ上で実機の立体的な確認や、各種オプションを装着したときの価格シミュレーション、チャットで相談などができる機能など、決済まで一気通貫で行えるプラットフォーム(基盤)の開発を検討する。
同時に、顧客の近接地に実機のショールームのような施設を設置し、実際に見てから購入できる体制作りや物流拠点の整備、メンテナンスを行うディーラーへの教育も取り組み課題とする。将来的には米国以外でも、オンライン販売が受け入れられる地域への展開を目指す。
同社の米国販売店は、複数のブランドを扱う併売店が主力となっている。そのため「専売店を展開する競合他社と比較してディーラー網が弱い」(同)のが実情だ。
そこで、販売店を通さないオンライン販売も取り入れることで、全土に広がる顧客層との接点を強化し、顧客基盤の拡大を進める。同社ではこれまでもスペアパーツをオンライン上で購入できるサービスを展開するなど、北米でデジタルマーケティングを強化してきた。
日刊工業新聞 2023年12月26日