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IHIがロシア撤退、現地投資家に合弁株売却

IHIはロシア事業から撤退したことを明らかにした。ロシア企業との自動車部品合弁会社アルファ・オートモーティブ・テクノロジーズ(AAT)の株式の持ち分83・11%と未回収債権を現地投資家に売却した。金額は非公表。AATは車用ボディーパネルをフランスの車大手ルノーに納入していたが、ルノーが2022年にロシアから撤退した影響で、生産を停止していた。

ロシアのウクライナ侵攻に終わりが見えず、AATの事業再開が望めないため、売却を検討していた。AATの売上高は数十億円規模だったが、生産停止による業績への影響はほぼないとみられる。

AATの持ち分売却により、IHIはグループ全体でロシアの生産拠点がなくなった。モスクワ市に事務所を構えてはいるが、人員は常駐しておらず、ロシアから事実上撤退した形だ。

IHIは07年、モスクワ市政府が大株主の車メーカー、ジルとの合弁でAATを同市に設立した。AATは車用ボディーパネルを生産・販売していたが、主要顧客であるルノーのロシア撤退の影響で操業を中止。IHIは22年3月期に47億円の減損損失を計上した。

日本企業のロシアからの撤退は徐々に増えている。帝国データバンクによると、ウクライナ侵攻直前にロシアに進出していた上場企業168社のうち、23年8月21日までに事実上撤退したか撤退計画を表明したのが30社に上った。22年8月時点は10社に満たなかった。

日刊工業新聞 2023年12月21日

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