ニュースイッチ

化学反応を100倍以上効率化できる可能性…渦の空洞泡は大きく角張る、東北大が発見

化学反応を100倍以上効率化できる可能性…渦の空洞泡は大きく角張る、東北大が発見

渦キャビテーション(放射光=東北大提供)

東北大学の祖山均教授と矢代航教授らは、化学反応などに利用される渦キャビテーションの泡は想定よりも大きく角張っていることを発見した。キャビテーションは流速や圧力変化で液体中に泡ができる現象。泡がつぶれる際に衝撃力が発生し化学反応が進む。詳細な形状が判明したため、シミュレーションして高度に制御できれば、化学反応などを100倍以上効率化できる可能性がある。

液体中で気泡ができるキャビテーションのうち、圧潰衝撃力の大きな渦キャビテーションの詳細な観察に成功した。X線高速度観察技術で時間分解能と空間分解能を高めた。すると気泡の大きさは数百マイクロメートル(マイクロは100万分の1)から1ミリメートル程度で角張った形をしていた。従来は数十マイクロメートルの大きさで球状だと考えられてきた。

渦の回転速度に相当する接線方向への速度を求めることにも成功。正しい形状を反映したシミュレーションが可能になる。渦キャビテーションの気泡のうち数百個に1個が強力な圧潰衝撃力を発生させる。この原理を解明し化学反応や表面改質の向上につなげる。

日刊工業新聞 2023年12月19日

編集部のおすすめ