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世界シェア首位の「二次電池検査システム」、片岡製作所が生産能力3倍に

世界シェア首位の「二次電池検査システム」、片岡製作所が生産能力3倍に

二次電池検査システム(イメージ)

片岡製作所(京都市南区、吹田昌志社長)は、2024年春をめどに二次電池検査システムの生産能力を現状比3倍に引き上げる。本社近くで工場を借りて生産ラインを構築するほか、滋賀県草津市に出荷前調整を行う工場を賃貸で設置する。同社は同システムで世界シェア首位。中長期的な電気自動車(EV)市場拡大を背景に受注が想定以上に増えており、迅速に体制を整備する。投資額は約5億円。

二次電池検査システム事業は片岡製作所の売上高全体の過半を占め、現状は60億円規模。能力増強で200億円規模まで伸ばせる生産体制が整う。

同社は本社近隣に新工場を建設する計画を22年に公表し、25年に着工する予定だが、同システムの需要が想定を上回り、大型案件も多かったことから、同計画を継続しつつ追加で投資し迅速に対応する。

同社は京都市南区に本社と複数の工場を構える。今回、新たに貸工場の1フロア(広さ約5000平方メートル)を借り、同システムの組み立てラインを2本新設する。既存の1ラインと合わせ、3ライン体制となる。一方、出荷前調整の工場は構成品の調達先に近い滋賀県草津市に確保し、事業を効率化する。

同システムは電池の安全や品質を担保する上で重要な充放電、エージング、電圧検査、抵抗検査、選別などの工程と、全工程の自動搬送を含んでおり、豊富な販売実績を持つ。顧客ごとに最適なレイアウトや能力を提案できる技術力も強みで、差別化につながっている。

同社は同システム以外にも多様な機器を手がけ、次世代のペロブスカイト太陽電池向け製造装置もその一つ。薄膜太陽電池用レーザーパターニング装置の技術を用いた研究開発用装置は展開済みで、量産用装置も開発中。本社近くで計画する新工場では、量産用も生産する方針だ。

日刊工業新聞 2023年12月19日

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