塗工効率20%以上…ニチバンが「両面テープ」効率生産、10年以上の研究開発で実現
ニチバンはテープ安城工場(愛知県安城市)の設備を刷新し、粘着材の塗工に有機溶剤を使わないホットメルト製法による両面テープ「ナイスタック」の生産を始めた。有機溶剤の乾燥工程がないためリードタイムを短縮することができ、塗工効率を20%以上向上させた。生産性向上により二酸化炭素(CO2)排出量も5分の1程度への削減を見込む。投資額は非公表。今後はセロハンテープの生産にもホットメルト製法を導入する予定。
ホットメルト製法は熱で溶けた粘着剤をテープに塗工する手法の一つで、これまで布テープなど厚みのあるテープの生産に用いていた。今回、粘着材の素材から開発し、設備メーカーとも協力して粘着材を吐出する塗工ヘッドを改良、厚みのないテープにも薄く粘着材を塗工できるようにした。
粘着力は従来品と変わらない。ホットメルト製法を導入するのは「ナイスタック」のうち「一般タイプ」「はく離紙がはがしやすいタイプ」「しっかり貼れてはがしやすいタイプ」の3種類。
従来はアクリル系粘着材を有機溶剤で溶かして塗工していたが、新しい製法で作るナイスタックにはポリマー系粘着材を使う。製法の変更で有機溶剤による環境負荷を減らすとともに、生産効率を高めた。
生産本部長の片桐真人上席執行役員は「研究開発に10年以上かかった技術だ」と胸を張る。
ニチバンはテープ製品をテープ安城工場と埼玉工場(埼玉県日高市)で生産する。テープ安城工場では設備の老朽化と事業継続計画(BCP)への対応で生産設備の再編を進めてきた。
日刊工業新聞 2023年12月15日