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国内工場のCO2を69%削減、マツダが達成へ想定する具体策

国内工場のCO2を69%削減、マツダが達成へ想定する具体策

波方ターミナルから内航船で燃料アンモニアをマツダ本社工場に輸送する想定だ

マツダは世界生産台数の約7割を占める日本で、政府の温室効果ガス(GHG)削減目標を上回る意欲的な取り組みを進める。14日、2030年度に国内自社工場・事業所の二酸化炭素(CO2)排出量を13年度比69%減らすと発表。政府が掲げるGHG同46%減を大幅に超える目標を打ち出した。広島の本社工場の発電を石炭からアンモニア専焼にする燃料転換や、設備の高効率化など省エネルギー対策が柱。目標と施策を明確にし、サプライチェーン(供給網)全体での50年カーボンニュートラル(CN、GHG排出量実質ゼロ)の足がかりにする。

燃料転換・設備を高効率化

マツダの23年3月期の世界生産113万5000台のうち、国内は76万4000台で67%を占める。CO2排出量ベースで見ても、国内の自社工場・事業所の排出量が世界全体の75%という状況だ。国内の削減施策を具体化して成果を上げ、海外に展開する方針。関連の設備投資額は精査中として明らかにしていない。

エネルギーの脱炭素化では、四国電力や三菱商事などと共同で、波方ターミナル(愛媛県今治市)を30年までに年約100万トンのアンモニアを取り扱う中核拠点とする計画が進む。マツダは同拠点から内航船でアンモニアを本社工場に輸送する想定。アンモニア専焼への転換は30年を見据え、新たな発電設備を建設する方針だ。太陽光発電の活用や再生可能エネルギー由来の電気の購入といった施策も組み合わせ、30年度時点の非化石電気使用率は75%に高まる見込み。

脱炭素化・地域の成長両立

省エネの取り組みではインターナルカーボンプライシング(ICP、社内炭素価格)を導入し、CO2排出削減効果が高い施策の設備投資を加速する。具体的には空調設備の高効率化や、コンピューター上のモデルを軸に開発を進める手法「モデルベース開発(MBD)」をはじめとする業務効率化、低温硬化塗料の使用などを想定している。

マツダ経営戦略本部の木下浩志カーボンニュートラル・資源循環戦略部長は「CNと事業成長・地域の経済成長の両立を目指す」と説明。直接取引するティア1(1次取引先)約70社と50年のCN達成に向けたロードマップ(工程表)を共同で作成し、技術連携も視野に入れる。

国内生産比率が高いマツダにとって、計画の実行力が問われている。


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日刊工業新聞 2023年12月15日

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