弱視者に安心を。自発光式の杭に可視光通信機能を搭載 歩行支援システム研究開始
京都工芸繊維大・タナベ共同で
【京都】京都工芸繊維大学の大柴小枝子教授と森本一成教授らの研究グループはタナベ(京都市上京区、田辺誠一社長、075・811・0178)と共同で、歩道と車道を区切る車止めの役目を果たす自発光式のボラード(杭)に可視光通信機能を搭載した歩行者支援システムの開発に乗り出した。音声で周辺の状況を通知し、視力の弱い弱視者や高齢者らが安心して外出できるようにする。今後3年以内の実用化を目指す。
高齢化社会の進行に伴い弱視者は増加傾向にある。外出する機会も増えていくとみられるが、現状では弱視者自身から「信号の色が分かりにくい」「階段の段差が怖い」といった声が上がる。従来の全地球測位システム(GPS)を用いた歩行支援は、衛星から見えない場所で支援しにくくなることや、小さな段差を知らせる詳細な音声案内が難しいなどの課題があった。
大柴教授らは発光ダイオード(LED)照明のような目に見える可視光通信を用いたシステムに着目。赤外線センサーを内蔵して歩行者を感知するボラードを発光した上で、情報を発信する。ボラードを使う利点は歩道上に約5メートル間隔で設置されており、高精度な支援と発光部に回路を組み込むだけで通信機能を備えられるため、比較的低コストを実現できるという。
歩行する弱視者は、音声を発信する受信端末を腕に装着し、ボラードからの情報を受け取る。端末からは横断歩道の長さや信号の状況などを音声で通知する。
試作品を使ったテストで、弱視者のモデルとなった参加者からは「安心感があった」という回答を得た。3月中旬をめどに京都市内の生活支援施設で実証実験に取り組む計画だ。
今回の研究は文部科学省や科学技術振興機構(JST)による研究成果展開事業「センター・オブ・イノベーション(COI)プログラム」の成果を応用した。
高齢化社会の進行に伴い弱視者は増加傾向にある。外出する機会も増えていくとみられるが、現状では弱視者自身から「信号の色が分かりにくい」「階段の段差が怖い」といった声が上がる。従来の全地球測位システム(GPS)を用いた歩行支援は、衛星から見えない場所で支援しにくくなることや、小さな段差を知らせる詳細な音声案内が難しいなどの課題があった。
大柴教授らは発光ダイオード(LED)照明のような目に見える可視光通信を用いたシステムに着目。赤外線センサーを内蔵して歩行者を感知するボラードを発光した上で、情報を発信する。ボラードを使う利点は歩道上に約5メートル間隔で設置されており、高精度な支援と発光部に回路を組み込むだけで通信機能を備えられるため、比較的低コストを実現できるという。
歩行する弱視者は、音声を発信する受信端末を腕に装着し、ボラードからの情報を受け取る。端末からは横断歩道の長さや信号の状況などを音声で通知する。
試作品を使ったテストで、弱視者のモデルとなった参加者からは「安心感があった」という回答を得た。3月中旬をめどに京都市内の生活支援施設で実証実験に取り組む計画だ。
今回の研究は文部科学省や科学技術振興機構(JST)による研究成果展開事業「センター・オブ・イノベーション(COI)プログラム」の成果を応用した。
日刊工業新聞2016年3月15日 科学技術・大学面