現地生産の黒字確保困難に…日本ガイシが南アフリカで排ガス浄化装置の生産終了
日本ガイシは南アフリカでの自動車向け排ガス浄化装置の生産を終了する。同国政府は自動車産業の集積を図るため現地生産を優遇する政策を採用してきたが、政策転換に伴い同社は現地生産の黒字確保が困難となった。2025年にも生産を終えるとみられ、ベルギーや日本などにある生産拠点で供給を継続する考えだ。内燃機関向けの需要拡大は25年ごろまで続くとみており、余力のあるうちに生産体制を最適化し収益力の向上を急ぐ。
排ガス浄化装置工場の閉鎖は国内、海外ともに同社では初めて。すでに現地従業員の再就職に向けた支援を進めているという。
南アフリカは1995年から自動車産業を誘致する政策を採用しており、日本ガイシは2000年に進出した。南アフリカではベルギーや日本などで成形した、焼き固める前の半製品を輸入し、南アフリカにある焼成炉で製品に仕上げていた。
従来の政策では同国で付加価値を生み出すことで税制上の優遇などを得られたが、21年に現地生産の比率向上を求める制度となった。日本ガイシでは半製品を南アフリカに送って現地生産する利点が薄れ、製品を南アフリカに供給することが合理的となった。
南アフリカ自動車製造者協会(NAAMSA)によると、22年の国内生産台数は前年比11・4%増の約55万5900台だった。生産した車の6―7割は輸出に振り向けられている。
日本ガイシにとって、自動車向け製品で得る営業利益は全体の7割を占めており、新たなビジネスを立ち上げるための源泉だ。同社は排ガス浄化装置の技術や生産設備を応用し、セラミックス製の二酸化炭素(CO2)吸着材の市場投入を目指している。内燃機関向けの生産を効率化して収益を確保しつつ、新たな収益源の確立を急ぐ。
日刊工業新聞 2023年12月08日