提供開始1年で200万枚超達成、メルペイのクレカが起こした革新
高い利便性好評
メルペイ(東京都港区、山本真人最高経営責任者〈CEO〉)のクレジットカード「メルカード」が、提供開始から約1年で発行枚数200万枚を突破した。フリーマーケットアプリケーション「メルカリ」の売上金を同カードの清算に充てられるようにし、他社と差別化。メルカード保有者のメルカリ利用率も向上する相乗効果を生み出した。独自の利便性と付加価値で存在感を示した格好だが、今後も勢いを持続できるかが試される。
メルカードは、メルカリの利用実績などを基に利用限度額や還元率が決まる仕組み。メルカードのほか、スマートフォン決済「メルペイ」の利用履歴もまとめて確認可能。クレカやスマホ決済会社が異なる場合は、それぞれのアプリを開いて利用履歴を確認する必要があるが、メルカリアプリでほしい商品の出品状況を確認するついでに購入履歴も一括管理できる利便性が高い評価を得た。
支払いの清算でも差別化した。翌月1日から末日まで自由に支払日を選択可能。給料日やメルカリ売上金の入金日に合わせて清算できる。10月には清算直後にポイントを付与する機能を追加した。
既にメルカード利用者の約34・9%がメルカードや、後払いサービス「メルペイスマート払い」の支払いにメルカリの売上金を利用している。メルカード利用者がメルカリでオモチャ・ホビーを購入した品数が非利用者の2倍となる相乗効果も生まれた。
メルカリは月間2300万人超の利用者がいる。今後はメルカードで購入した商品データをメルカリアプリに連携できる商品数を増やす計画。メルカードを使うことでメルカリアプリをより便利に使える仕組みを整え、発行枚数のさらなる上積みを目指す。
インタビュー/メルカリユーザーにお得・メルペイCEO・山本真人氏
メルペイの山本真人CEOにメルカードの差別化戦略などを聞いた。(編集委員・水嶋真人)
―メルカード発行200万枚を達成できた要因は。
「メルカリユーザーにとって(支払い管理などを)非常に分かりやすくし、恩恵も得られるようにした。まだまだ使い勝手のところで革新を起こせるという思いから各種機能を追加し、高い評価を得られた」
―メルカリの売上金をメルカードの支払いに使えます。
「例えばヘッドホンをメルカードで購入したユーザーが古いヘッドホンをメルカリで売る。その売上金をメルカードの1回ごとの利用の清算に使える。クレカの引き落とし日に高額の支払いをしないように、事前にメルカリ売上金で払えるものは払っておけることが差別化のポイントだ」
―メルカリが隙間時間にアルバイトができるスポットワーク事業に参入します。
「購入資金がなくても、メルカリやメルカードを通じて物を売ったりスポットワークで働いて払ったりすることでほしい物が手に入る方法論自体を拡充していく。顧客が何かをするために必要な原資を生み出せるようにすることを今後も目指していきたい」