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住友化学が合成繊維原料撤退、業績V字回復へ構造改革加速

住友化学は、合成繊維原料事業の撤退と農業用ポリオレフィンフィルム事業の譲渡を発表した。同社はすでに約30件の事業で売却を含めた再構築を検討しており、2024年度の業績V字回復や財務体質の強化を図る。短期的な業績改善に加え、12月に立ち上げたプロジェクトチームでの議論を通じて構造改革を加速させる。

愛媛工場(愛媛県新居浜市)で合成繊維原料のシクロヘキサノンを手がける製造設備を2024年3月末をめどに停止する。原材料価格高騰や、世界経済の回復遅れに伴う市況の大幅低迷など事業環境が大きく変化したことで、安定的な収益確保が難しくなった。撤退によって24年度にコア営業利益で数十億円の改善につながるとみられる。

同社は子会社のサンテーラ(東京都中央区)が手がける農業用ポリオレフィンフィルム事業を、タキロンシーアイが新設する子会社「タキロンシーアイサプライ」(同港区)に譲渡する。実施時期は24年3月1日を予定。譲渡額は開示していない。

住友化学は短期集中の収益改善策の一環で採算性とともに、より成長できるベストオーナーの視点を踏まえた事業の再構築を進めている。

12月に構造改革の加速に向けたプロジェクトチーム「構造改革クロスファンクショナルチーム」を設置した。聖域なき議論を通じて抜本的な構造改革を含む次期中期経営計画(25―27年度)の策定につなげる。


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日刊工業新聞 2023年12月05日

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