軸はデジタルキー、東海理化の新規事業に勢い
飲酒検査対応の社用車管理サービス/レンタカー店をマッチング
東海理化の新規事業が勢いを増している。社用車の管理業務を効率化するサービス「Bqey(ビーキー)」は、1日から義務化される社用車のアルコールチェックに対応した機能を訴求し、導入拡大につなげている。無人レンタカーアプリケーション「Uqey(ユーキー)」は沖縄県、福岡県、北海道などでサービスを展開し、登録者が1万人を突破した。デジタルキー技術を生かした事業を軸に、顧客の開拓を加速する。
アルコールチェックの義務化は、白ナンバーの社用車を5台以上、または定員11人以上の車を1台以上使う事業者が対象となる。これを受け東海理化は、アルコールが検知された場合に車両のドア解錠を制限する新機能などをビーキーに追加した。
ビーキーは社用車の予約管理や運行記録、日常点検といった管理業務を一元化できることなどが評価され、現在200社以上が導入している。アルコールチェックへの対応で、社用車管理業務の効率化とともに、企業のコンプライアンス(法令順守)強化に貢献する。今後もユーザーの声を開発に反映し機能のアップデートを図る。
ユーキーは利用者と地域のレンタカー店をマッチングするサービス。レンタカーの予約や鍵の施錠・解錠、利用後の精算などをスマートフォンのアプリで完結できる。レンタカーを借りる際の待ち時間がないなどの利便性の高さから利用者を増やしている。レンタカー店側もアプリ活用で省人化につなげられるメリットがある。一般消費者への認知度向上と同時に、レンタカーの加盟店も拡大する。
東海理化は2030年に新規事業で売上高150億円、うちデジタルキー事業で100億円を目指す。
インタビュー/車部品メーカーの強み発揮・副社長・佐藤雅彦氏
市場環境や今後の展開について佐藤雅彦副社長に聞いた。 (名古屋・増田晴香)
―飲酒検査が義務化されます。
「飲酒検査対応の機能を見て、ビーキーの採用を決める顧客が増えた。顧客の関心は高い。社用車管理のデジタル変革(DX)は優先度が低く、まだ取り組んでいない企業も多い感触だが、これを機に導入の意思決定が加速すると期待している。以前から社会課題となっている飲酒運転の撲滅に貢献したい」
―競合に対する優位性は。
「車に搭載する製品は、例えばあらゆる天候や環境下での利用を想定した作りにするなど、ある程度車のノウハウがないと難しい。ここで自動車部品メーカーとして強みを発揮できる」
―ユーキーの今後の展開は。
「今は実証実験も兼ねてサービスを提供している。ユーザーの反応を踏まえて今後どう本格展開するか企画している。拡大にあたってはレンタカー会社との連携が不可欠。長い待ち時間を解消し、レンタカー会社の競争力向上にもつなげていただきたい」
―新規事業領域ではeスポーツ向け製品のブランド「ZENAIM(ゼンエイム)」も立ち上げました。
「新規事業に携わるゲーム好きの若手社員の発案がきっかけで、車載用スイッチの技術を生かそうというところから始まった。第1弾として発売したキーボードは、わずかな接触を検知できるスイッチやソフトウエアを使っており、コンマ数秒を争うeスポーツでは非常に有望。今後もラインアップを拡大する」
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