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太陽光に近い人工光で…京セラが事業化へ、イネの屋内栽培技術の効果

太陽光に近い人工光で…京セラが事業化へ、イネの屋内栽培技術の効果

京セラが屋内栽培する矮性イネ

京セラは人工光によるイネの屋内栽培技術の開発に乗り出し、数年内の事業化を目指す。草丈が低く屋内栽培に適した矮性(わいせい)イネを、太陽光に近い照明を実現可能な独自開発の発光ダイオード(LED)で栽培。栽培効率化や収穫量増加のため、栽培装置の開発や栽培のノウハウ蓄積に取り組み、それらを植物工場など向けに提案する。事業化に向け、他社との協業も視野に入れる。

現状、矮性イネの屋内栽培は一般的な農地栽培と比べ、一度の収穫量は少ない。京セラは多段棚栽培や多期作による栽培効率向上や、栽培技術の改善により、面積当たりで農地栽培を上回る収穫量を目指す。そのため、イネの量産実験などに使うラボを近畿圏内に整備し、2024年内の稼働を計画する。

京セラが着目したのは増村威宏京都府立大学教授が開発した、矮性イネの「京のゆめ」という品種。播種から収穫までの期間が約3カ月で、草丈が一般的なイネの3―5分の1程度の約20センチメートルと、省スペース栽培に適しているのが特徴だ。

屋内栽培には京セラが開発したLED照明技術を活用する。紫励起LEDとRGB(赤・緑・青)蛍光体を組み合わせる点が特徴で、青色LEDと黄色蛍光体を組み合わせる一般的なLED照明と比べ、太陽光に近い光になる。同技術はレタスの屋内栽培でも実証実績があり、露地栽培レタスなどよりも、ビタミンC含有量などが多くなるという。

産業界では食料不足などに対応するため、イネや小麦といった主食用穀物の屋内栽培技術の研究が進められてきた。京セラ経営推進本部の丹羽恒治氏は「食料安全保障に貢献する屋内栽培技術を発展させ、3年内に事業化したい」と語る。

日刊工業新聞 2023年11月30日

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