半導体装置販売、中国依存の急激な高まりに警戒の声
日本半導体製造装置協会(SEAJ)がまとめた日本製半導体製造装置の10月の販売高(速報値、8―10月の3カ月移動平均ベース、輸出含む)は前年同月比17・1%減の2875億4000万円だった。5カ月連続の前年同月割れだが、マイナス幅は9月(21・6%減)より縮小した。中国半導体メーカーの積極投資が需要を下支えしたとみられる。ただ、欧米や韓国の半導体各社の投資が上向くのは2023年末以降とみられ、足元の回復は非常に緩やか。中国依存の急激な高まりを警戒する声もある。
中国は米国などが先端半導体の輸出規制を強化する中、非先端品向けの装置の輸入を増やしてきた。増やした装置は電流制御などに使うパワー半導体や、センサーから取り込んだ光や音をデジタル信号に変換するアナログ半導体向けが中心とみられる。演算用ロジックや記憶用メモリーの一種であるDRAM関連の投資も広がっているもようだ。中国ではパワー半導体市場のけん引役である電気自動車(EV)の市場が大きく拡大している。
同国政府も多数のパワー半導体企業を競走させ、勝ち上がった強い企業を集中的に育成していこうとの考えがあるようだ。
とはいえ足元の中国向けの活況は輸出規制を踏まえた駆け込み需要の面もある。特需の反動が生じた時、中国向け比率が高まっている装置各社への影響を懸念する声もある。中国以外の地域の需要がいつ本格回復するかが今後の焦点になる。
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日刊工業新聞 2023年11月27日