工期15日→6日…大林組が大型構造物に初適用した「3D造形プレキャスト部材」の効果
大林組はR3西湘海岸岩盤型潜水突堤整備工事(神奈川県大磯町)で、新たに設置する潜水突堤の一部に3次元(3D)プリンターで製作したプレキャスト部材を適用した。大型構造物への適用は国内初という。施工の安全性と品質の向上に加えて、搬入や荷下ろし、組み立て作業を簡素化でき、工期短縮と省人化も実現する。
建設用3Dプリンターを用いて外殻を作製。同社が開発した常温硬化型のモルタル材料を内部に充填(じゅうてん)する工法を採用し、プレキャストブロックを製作した。
1ブロックの最大重量は17・6トンと既存工法の約半分のため、各ブロックを4点吊りで揚重できる。安全性と施工品質の向上を実現するほか、隣接ブロックとの衝突による損傷リスクを低減する。
プレキャストパネルを搬入と組み立て作業も効率化できる。既存工法は多くの部材の搬入や荷下ろしに時間がかかり、海中への据え付け前に組み立て作業が必要だった。一方、新工法は工場で製作したプレキャストブロックを建設現場に搬入し据え付けるため、先端部ブロックの据え付けにかかる工期が既存工法の15日から6日に短縮。作業人数も延べ96人から42人に削減できる。